コラムのコンセプト

現象だけを見ていては、何も解決されません。
調べて、議論をして、分析をして、
知識を深めなければ、本質は見えてこないのです。
このコラムでは、有識者の方々の経験や知見を通して、「情報品質」の本質を探っていきます。

フィデューシャリー・デューティー事情 第1回

  弁護士法人 中央総合法律事務所
社員弁護士パートナー
UCDA理事 錦野裕宗

UCDAと、フィデューシャリー・デューティー原則は、とても似ている

2017年3月30日、金融庁より「顧客本位の業務運営に関する原則」(※フィデューシャリー・デューティー原則 )が確定・公表されました。

フィデューシャリー・デューティー原則(以下、FD原則)は、「金融事業者が自ら主体的に創意工夫を発揮し、ベスト・プラクティスを目指して顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い合い、より良い取組みを行う金融事業者が顧客から選択されていくメカニズムの実現が望ましい」とされているとおり、金融事業者の競争・市場原理を利用する施策です。金融事業者の、顧客から選択されるための競争により、「顧客本位の業務運営」の実質的達成が実現でき(社会価値の実現)、金融事業者の顧客基盤と収益の確保にも繋がる(企業価値の実現)という、CSV(社会価値と企業価値の同時実現)の考え方に立脚するものといえます。

そこでは、「最低基準(ミニマム・スタンダード)」、「形式的・画一的な対応」は是とされず、金融事業者には、顧客本位を実質的に達成するための「創意工夫を発揮」することが求められます。

「情報品質」との関係では、FD原則5において、「重要な情報のわかりやすい提供」として、「金融事業者は、顧客との情報の非対称性があることを踏まえ、(略)、金融商品・サービスの販売・推奨等に係る重要な情報を顧客が理解できるようわかりやすく提供すべきである。」とされています。
情報提供は、「最低基準(ミニマム・スタンダード)」でやっても、顧客に理解してもらえなければ意味がない、顧客に理解してもらえるようなプラスアルファの取組みをせよ、というメッセージだと考えます。

一方、UCDAは、そのミッションとして、「企業・団体が生活者へ提供するコミュニケーションの問題点を発見して、『見やすく、わかりやすく、伝わりやすく』改善」すること等を掲げる団体です。正に、企業等の「情報品質」の向上を促進することを目的としています。

私は、昨年11月開催の「UCDAアワード2016選考結果報告会」にて、講演の機会を頂いて以降、UCDAの様々な取組み・活動を具体的に知ることになりました。ちょうど、金融審議会市場ワーキング・グループでFD原則が審議され、パブリックコメント手続に付され、確定した時期と重なっていたわけです。

そのような中、FD原則とUCDAは、とても似ている、共通点が多々あるという自分でも予期しなかった感覚を、自然に(発見的に)、持つようになりました。FD原則の中で、イメージしにくいところが、UCDAの活動を念頭に置くと、具体的にイメージできることや、その逆のこと(UCDAの活動の意味が、FD原則を通せばよく理解できたこと)もありました。今では、その感覚は確信に近いものとなっています。

第2回へ続く

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