「第三者」による客観的な評価

09:尾崎 護-3

●より良い言葉を後代に残すために

写真尾崎:日本人はもっと自分たちのことを見つめなければなりません。かつて坂の上の雲を見つめて一緒に進んだように、団結力というものを考えてみなければなりません。そのとき、いちばん大事なもの、それは国語です。
福田:なるほど。言葉ですね。
尾崎:言葉は国民としてのアイデンティティを最も共有できるもののひとつです。国家は国民、国土、国語で構成されると言われます。ですから国土が乱れれば国はだんだんと溶けていってしまう。重要な問題です。
福田:言葉を大事にするということですね。そういえば尾崎さんは小学生のお孫さんたちに漢文を教えていらっしゃったとか。その話を『おじいちゃんの塾』(文藝春秋社)という著書にまとめていらっしゃいましたね。
尾崎:漢文を子どもに教えてみたかったのは、昨今の日本語の乱れを痛切に感じていたからです。私自身も漢文は高校で少々学んだだけですが、意味はさておき漢文の名調子は子どものうちに身につけさせたいと思って始めました。
福田:著書を拝読したのですが、不勉強が身に沁みました。小学生が読んだのだからとタカをくくって読み始めたら、これが大変でビックリしました(笑)。
尾崎:明治の文豪や芥川龍之介など大正期の作家の日本語は実に美しいものです。あの素地には漢文の調子が生きてい るのです。結局、和歌の五七五のリズムも元をただせば漢文ですし、平家物語も漢文によってビシッと締めているのです。漢文を学べば言葉の流れのようなもの が身につくわけです。
写真福田:漢 文にはキレが良く、きれいな言葉がすごく多いですからね。そういえば、著書の中で「携帯とワープロとカタカナが日本語をおかしくする」とおっしゃっていま すね。昨今は「?」や「!」が盛んに使われ、顔文字なるものまで登場して記号だらけで日本語の伝統的な良さが失われているように思います。
尾崎:源氏物語から連綿と受け継いできたものを今、ビックリマークによって失おうとしているんです。
福田:やはり大人は日本語を子供にしっかり教えていかなければなりません。これは重要な義務ですね。

尾崎:大人の側も日本語を改める必要があります。その意識を持つためにも公文書の保管は重要なのです。永久に自分の起 案した公文書が残ることになると、官僚も公務員も文章を書くときにもっと真剣になるはずです。要するに官庁文書をもう少し良い日本語に改めていく一助にな るのではないかと思うんです。

保護中: UCDAトーク

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