「第三者」による客観的な評価

10:武者 廣平

UCDAトーク10:武者 廣平 ユニバーサルデザインの現在を紐解く

●使いやすさのガイドライン

写真福田:まずはユニバーサルデザインということからわかりやすく話していただけますか?
武者:ユニバーサルデザインはアメリカの建築家ロナルド・メイス氏が提唱した概念です。自身も障害者のメ イス氏は、自分のような車椅子利用者でも使いやすい住宅をつくろうと設計をしていました。ところがいざ発表してみると売れ行きがどうもよくなかったので す。要はあまりにバリアフリー寄りになってしまっていたんですね。そこでメイス氏は視点を変え、身障者も健常者も含め多くの人にとっていいものをつくるた めのわかりやすい指針をつくろうと考えました。それがUD7原則で、これをもとにガイドラインをつくり評価をポイント制にして分かり易くしました。
たとえば物や空間の評価の際にこれでチェックすると使いやすいかどうかが数字として現れます。これまで感覚や経験値だったものをシンプルな数値に置き換える手段を提供したわけですね。おかげで完成度がどの程度なのかが如実にわかるようになりました。
福田:住宅から始まり、他の業種へ普及してきたわけですね。
写真武者:え え、まず建築界から始まりました。日本でも最初は建築家の人たちがユニバーサルデザインという考え方で評価をし始めました。その指標がわかりやすいという ことで、プロダクトデザイン、インダストリアルデザインなどでも、物づくりのチェック表として導入したのです。これでチェックすれば悪いところも良いとこ ろもわかるので、次の新商品開発でバージョンアップすることができます。特に日本で早々に導入したのは当時の松下電器(現:パナソニック)とトヨタ自動車 でした。
福田:家電と自動車の二大メーカーですね。
武者:なぜこの2社が先進的に導入したのか。それはユニバーサルデザインが輸出商品の完成度向上に対してものすごく有効だったからです。

ユニバーサルデザインは人種、国家、宗教、体型、体力などの違いを含め、できるだけ多くの人にとって使いやすい安全なものを提供しようという考え方です。 そのため、アメリカのような多民族国家であればこそ一層その価値がありました。いろいろな人にとって使いやすく安心なものをつくれば満足度も高まり返品率 も低くなります。日本製品の質が上がれば評価も上がり、輸出もどんどん伸びていく。実際にこの好循環が起きたこともあって、ユニバーサルデザインが日本で だんだん広まっていったのです。

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