「第三者」による客観的な評価

13:内藤純一

UCDAトーク13:内藤純一 日本経済の現状からコミュニケーション術まで

●震災と金融ビッグバン

——本日は、わが国の金融業界の現状や問題点、さらには金融機関と顧客のコミュニケーションのありかたについて伺いたいと思います。
福田:東日本大震災もあり、日本経済に元気がありませんね。 写真
内藤:今 の状況は決して楽観できません。昨年の10~12月期から景気はややかげり気味の状況に陥って、新年になってからも厳しく、下降気味だったところに震災が ありました。いま、非常に厳しい状況だということを認識しないといけません。原発事故の収束、新しい街づくりや産業の復活など長丁場の問題です。今後1年 間、かなり気を引き締めていかなければいけないと考えています。東北地方は、漁業や農業、観光業で競争力がある土地柄という印象でしたが、今回の震災でサ プライチェーンの問題が明らかになり、半導体やマイコンの供給において全世界的に影響を及ぼしています。最終製品のブランドが、アメリカ製やヨーロッパ製 だったり、日本製でも大企業のブランドであっても、組み込まれた重要部品は東北各地で製造されていて、相当のウエイトを占めています。たしかに今は厳しい状況にありますけど、誇りをもって復興に向けて進んでいただきたい。ピンチはチャンスといいますから、国全体の力を結集して復興にむけて努力し、日本経済 の構造転換のきっかけにするべきです。
福田:経済の大きな転換期というと、金融ビッグバンがありました。内藤さんは金融庁にいらしてご苦労もあったでしょうね。
内藤:金融ビッグバンの動きが本格化した1997年〜98年は、銀行の監督担当の任にありました。80年代後半から規 制緩和の動きはあったものの、銀行、証券、保険の各分野の秩序を維持しながら進めるには途方もない時間がかかり、なかなか前に進まなかった。ところがバブ ルが崩壊し、金融機関が危機感を抱き始めたのが97年ごろで、さまざまな政治的要請もあり、世界の金融マーケットと並ぶために規制緩和の方向へかじが切ら れたんです。しかし、その後、日本経済がなかなか復活しないまま、金融機関も自らを防御する動きに傾き、金融ビッグバンは当初の旗印通りには実行できませ んでした。
写真福田:現在の日本の金融機関のあり方は、海外と比べていかがでしょう。
内藤:欧米の大手の金融機関はワールドワイドな経営をしていますが、日本の大手の金融機関はまだそこまで至っていませ ん。海外からの資金を呼び込んで日本の成長に投資してもらうのが大きな課題。中東やロシア、中国はじめアジアの投資家のお金を呼び込むためには、わかりやすい基準をつくることが必要です。そして、日本の資本市場をアジアのメインマーケットにすべきだと思っています。中国にGDPで逆転を許しましたが、資産 の蓄積や法の整備状況、経済の安定度などを考えると、日本経済の質は圧倒的に高いですからね。

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