「第三者」による客観的な評価

22:長谷部剛

UCDAトーク22:長谷部剛 記者・編集者の目からみたコミュニケーション

スクープの裏側の「おもしろさ」

写真福田:ジャーナリストの道は学生時代から目指していたのですか?
長谷部:はっきりしたきっかけはよく覚えていないですが、高校生くらいから政治学を学んで政治記者になりたいと思って、早稲田の政経に進んだのです。
福田:初心を貫かれたのですね。
長谷部:ところが、結局、日経に入社してから、1回も政治部には配属されなかったのです。最初は大阪の社会部で事 件記者になりました。事件記者には事件によく当たる記者とそうでない記者がいるのですが、私は後者でして、ちょうど別の担当になったときに「グリコ森永事 件」が起きたのです。社会部で国鉄や大阪空港の担当をして、その後、名古屋に異動して、企業取材を3年、経験しました。それから東京に移り、経済解説部に 配属されました。
福田:記者をなさっていたご経験から、印象に残っているエピソードなどお聞かせください。
写真長谷部:名 古屋でトヨタ自動車の担当をしていたときに、トヨタグループの大きな会社の社長人事をスクープしました。外部からは本命中の本命と目されている方がいたの ですが、トヨタグループの内部で取材すると、全然、その方の名前は挙がってこないですよ。なぜだろうと思ったら、実はトヨタの企業文化とその方が合わない らしい。それで結局のところ、まったく下馬評にあがっていなかった別の方が浮上してきた。社長人事を抜いたことよりも、取材で独特の企業文化がみえてきた のがおもしろかったですね。
福田:いろいろな方を取材された経験がおありと思いますが、どういった点がコミュニケーション能力を左右するのでしょうか。
長谷部:開かない口をなんとかして開いてもらうのに苦心することもありますが、たくさん話してくれればいいとい うわけではなくて、話が長くてもニュースになる要素がない方もけっこう、いらっしゃいました(笑)。コミュニケーション能力の高い方は、話が整理されてい て、素人でもわかるような説得力のある材料を用いながら話してくれます。たとえば、ある大手シンクタンクのトップは、高齢化社会が到来した際の日本の福祉 水準について説明するのに、「65歳以上の比率が人口の4割になったとき、国民負担がスウェーデンと同じ7割に上げても現在の水準を維持するのがやっと だ」というように、わかりやすい具体的な数字を交えて話してくださいました。

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