「第三者」による客観的な評価

24:武田一孝-3

●プロダクトデザインから街づくりまで

写真福田:UCDAアワードで評価の対象にしている保険の帳票も、文字の色は黒が基調ですが、セピアや紺、グリーンなども使用することで、重要なところは文字の色を変えるといった工夫が見られます。これからは、万人に見やすく判別できる色かどうかというチェックが必要ですね。
武田:文章に赤線を引いた場合は、色がわからなくても注意を促しているなと気付きますが、文字の色が違うだけでは 気付かないケースがあると思います。「これでは見えにくいのではないか?」と疑問に思う表示は、街を歩いていても目につきますよね。たとえば、以前は東京 メトロの地下鉄路線図も、色弱者の方には違う路線が同じ色に見えるなど見づらい部分がありました。改善しようと提案した際に、「電車のボディカラーと路線 図の色を一致させているから、色そのものを変えることはできない」と言われました。そこで、色を変えず路線に記号を入れたり、線の重なる部分に白縁を付け たり、わかりやすくなる工夫をしたのがいまの路線図ですね。
福田:私が住んでいる神戸市はユニバーサルデザイン都市を宣言しています。カラーUDの活動と行政との関わりについてはどのように思われますか?
武田:市民サービスの一環として、カラーUDも含めた街づくりが条例化しつつあります。階段を上りやすくする、標識を 見やすくするなどの街づくりをするなかで、住民とのコミュニケーションについてもユニバーサルデザインを推進する流れが出てきています。まさにユニバーサ ルコミュニケーションデザイン(UCD)ですね。それはまず色から始まりました。色の見やすさも含めたユニバーサルデザインに関する条例化などが、一部の 進んだ行政機関や自治体で始まっています。自治体や行政機関によって温度差があるのは否めませんが、私の住む足立区は、区をあげて積極的に取り組んでいま す。社会の大きな流れとして感じているのは、1990年代から環境に対する取り組みが行政だけでなく企業でも活発化し、いまでは当たり前のことになってい ることです。そこにユニバーサルデザインやユニバーサルコミュニケーションデザインが加わってきたということです。
福田:どのような業界が熱心ですか?
武田:取り組みが早かったのは、電器メーカーや事務機器メーカーですね。たとえば、パナソニックは、だいぶ前からユニバーサルデザインでものづくりをする宣言をされていますし、リコーもそういった分野で先進的な企業ですね。
福田:カラーUDの導入事例を教えてください。
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武田:3 年ほど前に、警視庁の交通安全キャンペーンで都バスにラッピング広告をしたときのことです。万人に情報を提供しなくてはいけないということで、製作要件に UDingを使用することが入札条件になり指定されました。最近は、バンダイさんが社内ルールとして、玩具のパッケージ制作でUDingによるチェックを 入れることになっています。
福田:ユニバーサルコミュニケーションデザインというものは、受け手側の利用状況が非常に大事になるので、企業目線からお客様目線へとシフトしなくてはいけないと思いますが、いかがですか?
武田:お客様の立場が基本というのは、これからますます広まっていくと思います。カラーUDも、徐々に行政や企業が取り組み始めているところですが、それがもっと当たり前になるような社会にならないといけないですね。
福田:UDingをUCDAでも認証支援ツールキットの中に、情報量とタイポグラフィとともに「見やすいデザイン」の 自主評価のツールとして入れさせていただいていますが、一歩進めて、専門の技術をもっていらっしゃるインキメーカーさんと専門の研究をしている大学の研究 室とUCDAで、ユニバーサルコミュニケーションデザインについての研究をして、新しいものを生んでいきたいですね。
武田:UCDAが新たに始める認証制度によって、ユニバーサルコミュニケーションデザインの普及が進むことが重要だと 思いますし、そこにインキメーカーのノウハウも加えさせていただけたらと思います。最終的に色についても認証しないといけないことになってくるので、そこ をチェックする部分で、色のメーカーが関わっていく。そうすれば、UCDAに認められたものは色の認証もできているという流れができます。

福田:武田さんにご指導いただきながら見やすくわかりやすいデザインに取り組んでいきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

保護中: UCDAトーク

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