「第三者」による客観的な評価

03:永井 順國(後篇)-3

●ユーザビリティ先進国のお国事情

写真福田:そ う言っていただけると心強い。永井先生には昨年、生命保険会社の総合通知などのユーザビリティ評価に参加していただきましたね。あの評価で特徴的だったの が、外資系が上位に上がってきたという結果でした。外資系がユーザビリティに優れているのは理由があるのでしょうか。
永井:僕も評価に参加しながら、瞬時に「あ、外資系ばかりだな」と感じました。その時に思ったことが二つ あります。一つは欧米社会が「言語能力=Language Arts」においては、ある種の世界水準の中に生きているということです。次に、ほとんどがア メリカ系の企業のため、説明をきちんとするという文化が備わっているということがあります。アメリカは多民族国家です。多種多様な人種がいて、中には言語 能力の低い人もいる。その人たち皆にわかってもらうためには努力をしないと伝わらないんです。さらに、40年ほど前のことですが、アルファベットの読み書 きはできるものの意味がわからないという人間が増えてしまった結果、連邦教育省を中心に「Back to the Basics(基礎に返れ)」という教育改革を展開したということも背景になっていると思われます。以上の三つの理由が重なって、アメリカ系資本のものは わかりやすくできているのではないかと考えています。
福田:「お客様第一」ということが体に染みついている、というような感じですね。
写真永井:その視点を今後UCDAはどういった領域に広げていくのかはこれからの課題ですね。さらに、障害者へのフォローについても深めるべきことはあるのではないでしょうか。広げる、深める、その両面からこれから取り組んでいければいいのではないか、と思います。
福田:いろいろ考えていかないといけないことは山積みですが、これからもよろしくお願いします。本日はありがとうございました。
永井:こちらこそ、楽しかったです。ありがとうございました。
― コミュニケーションの核となる言語は、社会の核でもあるということがよくわかりました。本日は教育、地域社会から企業内コミュニケーションまで、幅広いお話をうかがうことができました。ありがとうございました。

※1 『読売新聞用字用語の手引』(編著:読売新聞社、発刊:中央公論新社
かつては社内用に制作されていたが、現在では一般にも発売されている。

  • Hatena
  • Google+
ページトップ