「第三者」による客観的な評価

04:三枝 龍生-3

●「力」は地から宿るもの

写真三枝:実 は最近、腸内の悪玉菌が0%になると善玉菌が動かなくなってアトピーになりやすいことがわかってきたそうです。約100年もの間、悪玉菌さえ腸内から無く なれば健康になれると信じられてきましたが、悪玉菌が完全になくなると腸内バランスがむしろ崩れて善玉菌が動かなくなるそうです。ちなみに、腸内のほとん どの菌が日和見(ひよりみ)菌で、その時どきによって、ただ、強い方につくそうですが、要は環境のバランスなんですね。腸内も社会も、アンバランスが命取 りになります。
ところで、合気道の論理もバランスにあるんですよ。合気道でかけるいろいろな技は、重心線をどう使うかが基本になっています。嫌がる相手を自分の重心線 を中心に動かそうとしても抵抗されてどうにもなりません。しかし、相手の重心線を中心に自分が先に動くように動き出すと、自然に相手も動いてきます。
福田:なるほど。善玉、悪玉のお話はとても面白いお話です。また、合気道は自分中心でなく、相手の重心をつくことがポイントというお話も、合気道だけでなくとても役に立つことです。
三枝:往々にして人は目の前のものにのみ強い意識を持ってしまいがちですが、それだと全体のバランスとは違うので容易 に動かすことができません。これは社会でも同じことがいえると思います。側近の言うことばかり聞いていては全体が見えなくなるのはよくある話ですね。歴史 的にもそれで失敗した方々はたくさんいらっしゃいますし。
写真福田:要はどこに視点をおくかは何につけ大事なわけですね。商売の原点もやはりお客様の立場を大切にすることです。
三枝:すべては足元から始まる、と合気道では考えられています。自分にせよ相手にせよ、必ずどこかで地面に接している わけで、そこには重さ分だけ地球から返ってくる力が秘められています。その力をいかに出すかが技に繋がります。「力」というのは「ちから=地から」、つま り地面からくるものなのです。同じく、財産は「宝(たから)=田から」で地から得るものと日本人は考えてきました。
この自分以外の「中心軸」を認識するということは、実は人間にしかできないことです。車を車庫入れする時を考えてみてください。運転席は必ず右か左に 寄っているのに、車の軸を基準にして操っていますよね。これは猿にはできません。ですから、猿のチンチン電車では運転士席は必ず真ん中に付いています。

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