「第三者」による客観的な評価

08:きたやまようこ-3

●眠っているときは夢を見て

写真福田:確かに心をほぐしてくれる部分は、どんな種類のコミュニケーションでも非常に重要ですね。それにしても、私には絶対に発想できないような、深い言葉がたくさんありました。
きたやま:短い言葉ですけれど、一つひとつがそれまで私が生きてきた人生をかけて出している言葉なんで す。読んでくださる方も自分の人生の体験を重ねながらその言葉を読んでくださいます。20歳なら20年の、80歳なら80年の、1歳なら1年の人生体験を もって一冊の絵本に出会う。そして子どもは子どもで、親は親で、自分の生活体験をもとに絵本を読みます。そうすると見る場所も違うし、受け取るものも違っ てきます。読む人の感性と価値観で言葉の背景がつくられ、それが自分というものを知るための一つになるんですね。私が提供しているのはそれを考えるきっか けなんです。
福田:ということは、同じ言葉でも聞く人によっていろいろ変わってくるわけですね。これからのユニバーサルのヒントもまさにそこにあるような気がします。実は僕も先生の『りっぱな犬になる方法』を「これは経営の教科書だ!」と思いながら読んだんです。
写真きたやま:そうなんですか?
福田:「眠っているときには夢を見て、起きているときには夢を持とう」という文がありまして、社長の時に これを勉強していたら経営そのものに使えたなと思いました。「つきあい」の箇所の縄張りや心の広さの話も「う~ん」と頷いてしまいました。子どもの絵本を 超えて示唆を与えるものがあるので、本当にビックリしました。しかもこの中身を僕が伝えようと思ったら、10ページくらいは原稿を書いてしゃべることにな る。ところが、それがたった何行かで書かれている。簡潔なのにものすごく中身が詰まっているんですね。絵本は子どもが楽しむものだとばかり思っていました が、私たちでも感動したり勉強したりできるのだと知りました。
きたやま:この本で面白いのは、皆さんそれぞれ好きなページが違うところで、私はそれをお聞きするのがと ても楽しいんです。この本は小学校低学年が対象になっていますが、私としてはこれを読めばいつ犬になっても困らないというようなHOW TOものにしようと考えて作りました。そうしたらある書店の店員さんが面白いと大人の売り場に置いたのがきっかけとなって、一般書でベストセラーになりま した。本当に色々な方が読んでくださって。

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