「第三者」による客観的な評価

11:孔令文-2

●囲碁は教育にも有用

写真福田:囲碁は日本の文化のひとつで、囲碁人口も多かったですね。1980年代までは世界で一番強かったわけですが、いまは中国や韓国に勝てません。お話の中にもでてきましたが、日本が強くなるにはどうしたらいいのでしょう。
:まずは、現代の囲碁について、先輩たちやファンの方々の理解が重要だと思います。日本の伝統的な良さ を残しながら、新しさを取り入れていく。日本らしさで勝負することも必要です。日本には「芸」という言葉がありますが、いまは勝負に直結するところで負け ている。ものすごい速さでプログラムをこなしていく中国に勝つためには、日本のいいところを伸ばしながら、10年20年かけて変えていくしか道はないので はないでしょうか。父は、「碁が後世に残るとしたら、日本の囲碁界が証明してきたように『芸』でなくてはならない。でもいまを勝ち抜きたかったら『勝負』 にこだわるしかない」と言いました。私はいい言葉だと思っています。
写真福田: いまの世界戦は、ほとんどが中国と韓国の戦いです。日本は原点にかえり見なおす必要がありますね。私が囲碁を始めたころは、碁会所には学生がたくさんいま した。でも、いまは碁会所も高齢化しています。囲碁を通してビジネスに大切なことをたくさん学びました。また、お客様との会話でも囲碁はとても役に立つ。 ビジネスの機会をたくさん与えてくれました。これを若い人たちにぜひ学んでもらって、社会に出たときに役に立ててほしいですね。最近は、大学で囲碁の授業 が始まったと聞いていますが。
:いま東京大学、早稲田大学、慶応義塾大学では、囲碁の授業で単位が取れるようになっています。私もお 手伝いしているのですが、学生たちはとても熱心です。慶応義塾大学での最初の授業は定員の20倍ほどの学生が聴きにきて、感動的なものになりました。囲碁 はとても魅力的です。福田さんが学んだ時代にはすそ野がとても広かったけれど、いまはそのすそ野が狭くなってしまった。2時間囲碁を打つより、スピードが 速い遊びに若い人が集まるようになりました。でも、触れるきっかけが少ないだけで、囲碁に興味をもつ若い人たちはもっと多いはずです。

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