「第三者」による客観的な評価

13:内藤純一-3

●もっとわかりやすい金融商品を

福田:UCDAでは損保や生保の帳票をわかりやすく改善する取り組みをしていますが、金融商品の説明の文章は難しく、一般の人は読むのに骨が折れますよね。
写真内藤:おっ しゃるとおりで、非常に大きな課題ですね。UCDAさんの活動はとても大事なことだと思っております。2007年に施行された金融商品取引法には適合性の 原則というものがあり、投資に関する知識や経験、財産の状況、投資の目的など、さまざまな顧客に応じた適切な勧誘を義務づけています。顧客を保護するため の法律なのですが、金融機関としては「あれもこれも説明しないと」と、説明内容が膨大になりがちで、顧客がうんざりしてしまうケースも少なくありません。 これには、「指示があれば動く」という日本人の文化的な特質が関わってきます。どのような説明をするか、法律にはさほど細かく書かれていないんですが、金 融機関は詳細にルールを決めてもらいたいと考えるんです。しかし、本来、この適合性の原則の立場から言えば、プリンシプルに基づいて、具体的にどういう肉 付けをして説明するか、それは金融機関それぞれが臨機応変に対応するべきなのです。当然、一定の判断と責任をともないますが、そうしないと顧客の満足度は 得られません。どれだけの分量の説明をしたか、法律的な要請をきちんと果たしたかどうかではなくて、顧客1人ひとりを理解して適切なアドバイスをする、 もっと高い次元のコミュニケーションが求められます。ですから、ルールベースからプリンシプルベースに転換すべきなんです。
写真福田:販売員の説明や文書の記載内容を絞ることはコストダウンにもつながりますよね。

内藤:例えば、投資信託の目論見書は、以前は数十ページあるいはそれ以上もありましたが、最近は10ページくらいに なっています。解約や変更の際や日常的に発生する手数料、金融商品の価格はどこで確認できるかなど、金融商品の骨格を説明すればだいたいはカバーできます から。そのなかで、わかりやすい表現や、UCDAさんが取り組まれているデザインが問われてくるでしょう。さらに、金融商品そのものをもっとわかりやすく することも必要になってきます。わかりにくい商品をわかりやすく説明しろといっても無理な話。商品それ自体がわかりやすければ説明もしやすいから販売現場 の負担も軽くなるし、顧客も説明を聞いたら、すぐ理解できる。わかりやすい商品開発にもコミュニケーションが重要で、たえずアンテナを張って、的確に顧客 のニーズをつかんでいく工夫が必要になります。

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