「第三者」による客観的な評価

13:内藤純一-4

●ポイントは3つに絞ると伝わりやすい

写真福田:長年、行政の現場におられて、政治家などさまざな方とコミュニケーションをとってこられたと思いますが、内藤さん流のコミュニケーション術はございますか?
写真内藤:決 めぜりふがあるわけでもないですけど(笑)。金融商品の説明と同じで、たくさん言えば伝わるというものではないので、ポイントを絞って説明します。たとえ ば、企画立案は法律案を作成して国会議員の先生方に説明をするわけなんですが、国会議員の先生方は日本国民のある意味縮図です。さまざまなキャリアがおあ りで、金融に詳しいかたばかりとはかぎりません。何のための法案なのかをよく理解していただくために、ポイントを3つに絞り、必ず図を入れて説明します。 ポイントは2つでも4つでもない。2つではシンプルすぎて不足感があるんです。4つ以上になると、説明を聞くほうが疲れてしまいます。3つというのが、い ちばん人間の頭の中に入りやすいのではないでしょうか。そこで、目的と、中身と、目指すべき結果とをコンパクトに3点に絞る努力を自然に心がけてきたんで す。それと、いかに日常的なわかりやすい言葉で説明するか。これは金融商品の説明にもいえることです。車や家電製品なら、見て、さわって、試したら良しあ しがわかるけれど、金融商品は目に見えないもの。言葉の約束ですからね。
福田:おっしゃるように、説明もポイントがしっかりしていれば、相手に合わせて臨機応変に対応できますね。われわ れはユニバーサルという言葉を掲げていますが、誰にでもわかりやすいということを追求していくと、パーソナライズするということになると思うんです。1人 ひとりに伝わるということを足し算すればいいわけですよね。本日はありがとうございました。

プロフィール/内藤純一(ないとう・じゅんいち)

1951年兵庫県生まれ。75年東京大学経済学部卒業、同年大蔵省(現財務省)入省。在エジプト、在英国日本大使館勤務などを経て、大蔵省証券公社 債市場室長、銀行局調査課長、同局銀行課長、大蔵省金融企画局参事官(開示制度担当)、同局企画課長など、金融・証券行政を担当した後、01〜03年名古 屋大学大学院経済学研究科教授、03年7月より財務省大臣官房審議官、04年2月より財務省東海財務局長、06年7月より証券取引等監視委員会事務局長、 08年7月より10年7月まで金融庁総務企画局長を務める。現在は早稲田大学大学院 客員教授、全国信用協同組合連合会 理事長。

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