「第三者」による客観的な評価

21:金巻龍一-2

●「伝える」だけでなく「わかってもらう」

写真福田:時代の変化に伴い、コンサルタント業務も変化するのでしょうか?
金巻:かつてコンサルタントは、企業の「あるべき姿」を提案してきました。しかし現在は、あるべき姿はわ かっているがなかなか実行できない、つまり当たり前のことが当たり前に実行できなくて悩まれている企業に対し実行力を提供するという形が増えてきたように 思えます。たとえば、グローバリゼーション。以前とはそのモデルはまったく変わっています。従来は、新しい市場を求めて多国籍展開を推進するという考え方 が主体でした。最近では、あまりにも激しい経営環境変化に対しその適合力を競争優位に変えようという動きが盛んになってきています。つまり、地球規模で事 業のポートフォリオを考え、常時その最適化を追求し続けるというモデルです。頭ではわかっていても、実際に実行となれば簡単ではありません。そのためには 世界規模での経営の見える化、オペレーションのコンポーネント化、ITの最適化に向けてのガバナンス強化など膨大な作業が発生しますが、これらは一気にや り遂げられるものでは到底ありません。雪だるまを作るときに、まず芯を作ってそれを転がして写真大 きくしていくように、最初にグローバル化を目指しての小さな成功を作り、そこから大きな変革につなげて行くといった成熟化のプロセスを作らなければならな いわけです。そのためにまず社員の意識改革が絶対条件となります。しかし、社員の皆様はまだあるべき姿の実感がないわけで、その段階で意識を変えようと いってもモチベーションがあがりません。つまり、「実行力」という側面をコンサルタントとして支援しようと考えた場合には、組織の底辺にある感情を科学的 にとらえ対応しなければならなくなってきているわけですね。従来の自然科学的な論理性だけでなく、自分科学という側面での論理性も必要になってきていま す。
福田:意識改革の一環で、日本という壁がなくなるかもしれませんね。ますます英語も必要になる。
金巻:たしかに英語は大事ですけど、いかに自分と異質な人間と恊働できるかというダイバーシティが大きい と思います。英語が堪能なのに、いざビジネスとなるとダイバーシティに対するセンスがなくて単なる通訳になってしまっているという方をよく目にします。福 田さんはいろいろな業務を経験されてさまざまな方と交わったとおっしゃいましたが、それと同じように、勇気を出してさまざまな国の方と普通に付き合ってい く努力が必要ではないでしょうか。

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