「第三者」による客観的な評価

07:尾畑 雅美-4

「わかりやすさ」の肝は「簡潔さ」

写真福田:しかし、今は携帯電話とか電子書籍などデジタル物がたくさん出てきて、どんどん活字離れをしています。しかし、情報メディアの原点は紙にあるし、やはり一番便利だと思える。だから紙文化というのはいつまでも大事にしなければならないと思うのですが、いかがですか。
尾畑:活字がいいのは読み直しができることですね。ダーッと読んだあとに、「やっぱりこの記事が面白かった、もう一回読んでみたい」と、一旦情報を受けてから、改めて選べる。この「選ぶ」ということは人間にとって非常に大事です。
福田:なるほど。
尾畑:近頃は東大の大学生でも新聞を読む人が少なくなっています。しかし、新聞社も変わってきています。 昔は情報をたんに流しておけばいいという「雑報主義」だったのですが、今は一旦堰き止めて丹念に読み込んで抽出するという「調査報道」に変わってきていま す。時代とともに性格を変えることで、新聞にも生き延びていく道があるのではないかと私は思います。
福田:情報という視点から見た時、UCDAで取り上げている生保の通知書や契約書などはどう捉えたらいいとお考えですか?
写真尾畑:生 命保険や銀行の約款などは、わざとわかりにくくしているように思いますね。問題は何より官庁にあるように思います。官庁の認可が下りようにつくると、どう してもわかり難くなる。あらゆる問題をクリアできるようにしていくと、結局は「わかりやすさ」の対極にあるものになってしまいます。
福田:尾畑さんはどうしていけばよいと思われますか?
尾畑:たとえば概略が2頁くらいにまとめてあって、それを見たら全体が一通りわかるような仕組みにしたら いいと思いますね。でも、そんなことは生保も銀行も皆さんわかっていらっしゃるんだと思います。わかっているのに、行政官庁との関係がありますのでなかな か実現できないということではないでしょうか。
福田:我々UCDAでも微力ながらなんとか「わかりやすく」なるように力を尽くしたいと思って頑張っているところです。
尾畑:UCDAの努力は小さいように見えて、日本のいちばん根源的な問題をぐぐっと突いていると私は判断しています。こうした部分からだんだんと風穴を開けていくことができると思います。ですからUCDAには大いに頑張ってもらわないと。
福田:我々も力になれるよう頑張っていきたいと思います。本日はありがとうございました。

 

――「わかりやすさ」を獲得するためには、背後にクリアしなければならないさまざまな問題が山積しているのが現実だと思います。しかし、現 場を見ていると、保険会社の方々も近頃では大分意識が変わってきているように思います。そこに対してUCDAでどんな発信ができるのか、さらに考えていき たいと思っています。本日はありがとうございました。

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