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第69回:「伝わるデザイン」が変えた組織の共通認識

制作グループの皆さま(左から宮本 千穂 氏、佐野 弘宣 氏、外山 友里 氏、永井 きの 氏)

インタビュー(肩書きは取材当時)
日本コープ共済生活協同組合連合会
共済推進本部 宣伝企画部 制作グループ
マネージャー 外山 友里 氏
スタッフ 佐野 弘宣 氏

 

UCDA認証「伝わるデザイン」を取得した《あいぷらす》プラチナ85パンフレット」

― 日本コープ共済生活協同組合連合会(以下、コープ共済連)さまは、シニア向け共済商品のパンフレット「《あいぷらす》プラチナ85」でUCDA認証「伝わるデザイン」を取得されました。制作を担当された共済推進本部 宣伝企画部制作グループの外山さま、佐野さまにお話を伺いました

「最終判断のためのツール」だからこその難しさ

― UCDA認証「伝わるデザイン」を取得した「《あいぷらす》プラチナ85パンフレット」は、どのようなツールであり、どのような場面で活用されているのでしょうか。

外山さま:今回のパンフレットは「シニア向け」の共済商品について、保障内容や手続き方法をまとめた冊子です。店舗の共済カウンターや相談会、宅配をご利用の組合員への訪問時など、さまざまな場面で活用されています。
ご自宅に持ち帰ってご家族と相談されるケースも多く、加入を最終判断するためのツールとして必要な情報が一通り網羅されています。そのため単なる商品説明ではなく、「理解し、納得し、判断する」までを支える役割を担っています。対象となる組合員は高齢の方も多く、情報の正確さと同時に「誰にとっても読みやすく、理解しやすい構成・表現」であることが求められていました。

きっかけは「組合員の声を大切にする姿勢」

― 今回、「伝わるデザイン」の認証取得に取り組まれたきっかけを教えてください。

外山さま:このパンフレットを「誰にとっても読みやすく、理解しやすい構成・表現」にするため改善の必要性を抱いていましたが、どこから手をつけるべきかわからない状況でした。特に大きい課題は「情報量の多さ」です。お問い合わせやご意見への対応として文言を追加していくうちに、どんどん内容が増えてしまって……結果として重要な情報が埋もれてしまう状態になっていました。
また、掲載の経緯がわからないまま残っている情報や表現も多く「この文言はなぜ必要なのか」「本当に削除してよいのか」と判断に迷う場面もありました。
コープ共済連内部でも「組合員の声を大切にして情報の質を高めたい」という意識が根強く、今回の取り組みを後押ししたと思います。単に情報を掲載するだけでなく、「正しく理解していただくこと」までを意識した情報提供へと転換していきたいという思いがありました。
そこで、UCDAの「伝わるデザイン」認証を活用することで第三者の視点から客観的に評価を受け、改善につなげる機運が高まったと思います。

98個の指摘から出発した改善プロセス

― 「伝わるデザイン」の認証評価では、専門家と生活者がユーザビリティや人間中心設計、編集などさまざまな視点から評価した「レポート」を作成します。評価結果をご覧になっていかがでしたか。

外山さま:正直、こんなにあるのかと驚きました(笑) ただ、逆に考えればそれだけ多くの改善余地があったということを改めて認識しました。

佐野さま:数えてみると98個ありました。ただ、評価結果を一つずつ見ていくと納得感のあるものばかりで、「なぜ伝わりにくいのか」を改めて理解することができました。これまで感覚的に感じていた課題が具体化されたことで、改善の方向性が明確になったと感じています。

― 改善プロセスはどのように進められたのでしょうか。

外山さま: 「準備8割」を念頭に置き、評価結果と課題を整理し、改善の方向性を早々に共有したことで、その後の改善をスムーズに進めることができました。
指摘内容を一つずつ整理してチームで改善案を検討しました。単なる修正ではなく、「なぜその表現にするのか」という意図を共有するため、ここには特に時間をかけたことを覚えていますね。

佐野さま:まず叩き台となる改善案を作ることが重要でした。それがあることで議論が進みやすくなり、各部署との認識合わせもスムーズに進めることができました。

外山さま:行政との調整が必要な表現や、制度上変更が難しい文言もあり、すべてを修正できるわけではありません。そんな制約の中で可能な限りわかりやすく伝えるかを丁寧に検討するプロセスは、いま振り返るととても重要だったと思います。

比較しやすい表や色彩の工夫で「伝わりやすさ」を改善

最大の壁は「内部調整」―役員会での共有と協力体制構築

― 改善を進めるうえで、特に難しかった点はどのようなところでしょうか。

外山さま:やはり内部調整が最大の課題でした。最初のうちは「いま問題が無いならそのままでいいのでは?」という意見もあり、そもそも「改善の必要性」をどのように共有するかが難しいと感じていました。
そこで役員会議で本認証取得の背景や目的を説明し、横串を通した全体的な取り組みの必要性を訴えました。その結果、部署を横断した協力体制を構築することができたことで改善を進める土台が整いました。

佐野さま:横串を通すため、UCDAの客観的な評価結果も活用しました。結果的に各部署とのコミュニケーションも取りやすくなり改善スピードも向上したと感じています。もともと比較的風通しのよい組織ではありましたが、役員会での共有をきっかけにより一体感を持って進めることができましたね。

高齢者にとっての「わかりやすさ」とは何か

― 今回は高齢者向けのパンフレットということですが、どのような点を意識されましたか。

佐野さま:評価レポートでも指摘がありましたが、文字サイズや行間、コントラストなど、視認性の向上には特に配慮しました。特に高齢者の方は読みやすさが理解のしやすさに直結するため、基本的なレイアウトの見直しも重視しました。

佐野さま:専門用語もできるだけ平易な表現にすることを意識しました。ただし制度上変更できない表現もあるため、正確さを保ちながらどこまでわかりやすさの両立……いかにバランスを取るかが最も重要なポイントだったと感じています。

デジタル時代における紙媒体の役割

― コープ共済連さまにとって、情報提供の次のステップをどのようにお考えですか。

外山さま:社会的にもデジタル化は進んでいますが、紙には安心感や使いやすさという価値があります。特に高齢者の方にとっては、紙の方が理解しやすい場面も多いと感じています。
佐野:紙とデジタル、それぞれの特性を活かしながら、より伝わりやすい情報提供を目指していきたいと思います。

認証へのチャレンジを通じて得た「基準」と「共通認識」

― 今回、「伝わるデザイン」の認証取得で得られたことを教えてください。

外山さま:「わかりやすさ」の基準が明確になったことが大きいですね。これまで感覚的に捉えていた部分が具体的に言語化されたと感じています。

佐野さま:評価レポートにあった98個の指摘はそのままノウハウとして蓄積され、横展開も可能なものばかりです。今回はパンフレットでしたが、それ以外のツール制作にも活かせると感じています。

外山さま:結果としてさまざまな部署を巻き込みながら取り組んだことで「共通認識」が生まれ、組織としての一体感の醸成にもつながりました

今後の展開とUCDAへの期待

― 今後の展開について教えてください。

外山さま:今回の取り組みを一過性のものとせず、他のツールやメディアにも展開し、よりわかりやすい情報提供を進めていきたいと考えています。最終的には組合員の皆さまが安心して理解し、判断できる情報提供の実現を目指しています。

佐野さま:改善は一度で終わりではありません。継続することを強く意識しながら「利用する方の目線」での情報設計につなげていきたいと考えています。

― 最後に、UCDAへの期待があれば教えてください。

外山さま:UCDA認証「伝わるデザイン」の取得を通じて多くの気づきを得ることができました。今後も多様な事例や改善のヒントをご共有いただけると、現場での活用がさらに広がると感じています。
佐野さま:紙媒体だけでなく、デジタルも含めた情報設計の知見についても、引き続き発信していただけるとありがたいです。

― ありがとうございました。

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