●囲碁は教育にも有用
孔:まずは、現代の囲碁について、先輩たちやファンの方々の理解が重要だと思います。日本の伝統的な良さ を残しながら、新しさを取り入れていく。日本らしさで勝負することも必要です。日本には「芸」という言葉がありますが、いまは勝負に直結するところで負け ている。ものすごい速さでプログラムをこなしていく中国に勝つためには、日本のいいところを伸ばしながら、10年20年かけて変えていくしか道はないので はないでしょうか。父は、「碁が後世に残るとしたら、日本の囲碁界が証明してきたように『芸』でなくてはならない。でもいまを勝ち抜きたかったら『勝負』 にこだわるしかない」と言いました。私はいい言葉だと思っています。
孔:いま東京大学、早稲田大学、慶応義塾大学では、囲碁の授業で単位が取れるようになっています。私もお 手伝いしているのですが、学生たちはとても熱心です。慶応義塾大学での最初の授業は定員の20倍ほどの学生が聴きにきて、感動的なものになりました。囲碁 はとても魅力的です。福田さんが学んだ時代にはすそ野がとても広かったけれど、いまはそのすそ野が狭くなってしまった。2時間囲碁を打つより、スピードが 速い遊びに若い人が集まるようになりました。でも、触れるきっかけが少ないだけで、囲碁に興味をもつ若い人たちはもっと多いはずです。