●ラジオはパーソナルメディア
杉山:じつは、いまでもラジオが好きといっても過言ではないです。ラジオの音だけの世界は、想像の自由 を与えてくれますよね。小さいときにラジオドラマで育っていますから、ラジオから流れる音や人の声だけで想像をめぐらすのが、自分のクリエイティブの原点 です。映像は意外と保守的で、目の前に映ったもの以外はなかなか想像できないけど、たとえば、ラジオの放送で、グラスを指で叩いて鳴らして「ベネチアング ラスはきれいだな」と言えばベネチアングラスに、「薩摩切子はいいなあ」と言えば薩摩切子になっちゃう。これが映像のベネチアングラスや薩摩切子なら、す ごく限定的な情報になってしまう。そこからするとラジオはかなり自由で、パーソナルなメディアですね。インターネットはというと、音声や映像が表現なのに 対し、コミュニケーションツールの要素が強い。人間のコミュニケーションに大変革を起こした。ツイッターなんて、お互いに同時並行でつぶやき合うのは、昔 のマンガのテレパシーに近い。
福田:最近はラジオを聴く人が増えていると聞きますね。
杉山:それは分かりますね、ラジオはパーソナルで、地域に根ざしていますから。
福田:手がけたなかで、みなさんにインパクトを与えた作品についてご紹介ください。
福田:そんな苦労があったんですか(笑)。