●瞬時の判断力と互いに理解する力
福田:ラグビーは戦略的だとおっしゃいましたが、さまざまな戦略があるなかで15人が意思の疎通をはかるのはたいへんですね。
福田:たとえば、パスプレーでの何人抜きとかのトリックプレーではどうなんでしょう?
平尾:まずはボール持った選手のセンスですね。想像力というか、情報収集力。瞬時にぱっと状況をみて情報 収集し、1秒先の状況を予測するわけです。そして、先手をうって網にひっかからないとこに放れるか。でも、いくらボールを持った選手がいい判断をして、い いところにパスしようとしても、まわりの選手の反応が悪くては意味がない。ラインの順番にパスするとしか思っていなかったら、ぱっと何人か先に投げたとき に反応できませんよね。パスを受ける側も「ここに放ってくるかも」と察知しているからこそ反応できる。それには、普段からお互いのプレーを理解し合うこと が必要ですね。
平尾:お互いにわかり合うことはとても大事なことです。それは言葉だけじゃないと思います。握手や肩をた たいたりといったスキンシップ、笑顔などの表情など、あらゆるものがコミュニケーションツールになる。言葉で伝えるには限界があるから、できるだけたくさ んのコミュニケーションツールを持っていたほうがいいですね。