●良い意味での横並びで業界活性化
白土:企業が読みやすいフォントを使うのは当たり前になったとき、さらにその先に進んで、どうすればさら に伝わりやすくなるかという競争が始まるかもしれません。たとえばCSRレポートを作成するのに、情報を盛り込むためにどんどん厚くして、写真やデザイン も工夫した立派なレポートができたとします。でも、読むのに何時間もかかったとしたら、どうでしょう。10分読むだけでも大切なことは伝わって、さらに興 味があるときにより深く読めるような、時間の視点で情報が整理されたレポートのほうがいいですよね。
福田:今回からはUCDAアワードも電通さんにバックアップしていただいています。このコラボレーションをさらに先に進めていきたいと考えています。
白土:我々はよく、「車の開発を銀行の店舗開発みたいにやってみましょう」というように、他の業種での考え方を持ち込 んでイノベーションを起こします。UCDAさんが金融業界で始められた試みを異業種に持ち込んだらどうなるか、というような組み替えをすれば、可能性はま た広がると思います。私どものやっていることも、ラボという実験段階ですが、今後もお力になれたらと考えています。
プロフィール/白土謙二(しらつち・けんじ)
1952年生まれ。77年株式会社電通入社。以来約20年間クリエイティブ・ディレクター、CMプランナー、コピーライターをつとめ、現在 では企業の経営・事業戦略からブランドコミュニケーション、商品開発、プロモーション、店舗開発、イントラネット構築、企業カルチャー変革まで手がけ、戦 略と表現の両面から、あらゆる領域の統合的コンサルティングを行う。2009年より現職。第33回カンヌ国際広告祭銀賞(86年)をはじめ、広告賞多数受 賞。