UCDAアワード2011:講評
「対顧客言語」の更なる模索を
評議員長(UCDA理事/政策研究大学院大学 客員教授) 永井 順國
2年前、「日本でも『対顧客言語の研究』が欠かせない時代に入っている」という趣旨のことを書いたことがある。昨年のUCDAアワードの講評で、「今回の評価結果が、社を超えて改善に結びつく。それを強く期待する」と述べたのも、この文脈の中にある。
以上二つの文章を、実は軽い驚きを持って思い起こしている。一連の評価作業を振り返ってみると、エントリーしたいくつもの会社で、日ごろの顧客の声を汲み上げつつ、社内の会議で改善に向けた検討を進めている。昨年のアワードで指摘した事項が、多くの会社で採り入れられてもいる。そうした「自己点検・評価」と「外部評価」とが融合し、有機的に機能した結果が、ここには見て取れる。
とは言っても、対顧客言語の研究は、まだ「発展途上」にある。そう考えた方がいい。一般論だが、例えば顧客に対して過剰におもねるあまり、明らかに間違った敬語が使われている事例が、このところひどく目立つという印象を持つのは、私一人だろうか。
「さらなる模索を期待する」というのが、今回の評議会に参画して得た結論である。