株式会社ポーラ・オルビス ホールディングス CSR推進室 川島忠興 氏

ステークホルダーに重要な項目を優先的に

写真——昨年に引き続き、貴社のCSRレポートがUCDA認証を取得されました。構成や内容で留意されている点をお聞かせください。

川島 CSRレポートには、いくつかのガイドラインがあり、CSRレポートとして必要な項目が明記されています。また、昨年より、ISO26000の国際規格で「組織の社会的責任(SR)」のあり方が標準化されました。これらの社会状況も加味してレポートを作成する必要があります。そのなかで、どう表現していくかが大事な点になります。報告内容はいろいろありますが、ポーラ・オルビスグループにとって重要な項目は何か、ステークホルダーの皆様にとって何が重要かなどをきちんと見極めたうえで、どの報告を優先するか、いかに報告するかという点について注力しまし た。

——ステークホルダーの方に重要なことは、どのように位置づけをなさるのでしょう?

川島 たとえば、マスコミで取り上げられていて社会的に非常に重要性が高まっているテーマや他社が取り上げているテーマなどをステークホルダーにとって重要なことと位置づけ、それに、ポーラ・オルビスグループにとって重要だと思われるテーマを考慮して報告内容を設定しました。特に、「お客さま満足第一」は、ポーラ・オルビスグループが最も大切にしている理念ですので、特に重要視しています。社会にとっての重要性と、ポーラ・オルビスグループにとっての重要性と、2つの軸をつくり、両軸でいちばん右肩上がりに位置する項目を優先して報告するようにしました。

——ポーラ・オルビスグループのCSR活動の特徴は?

川島 ポーラ・オルビスグループでは、CSRを基本的、事業的、選択的の3つの領域に分類し実践していますので、CSR報告書も領域ごとの構成にしています。基本的CSRとは、コンプライアンスやガバナンスなど、企業として取り組むべき基本的な活動について。事業的CSRは、持続的発展のために、商品・サービスの品質を高めて、お客様や従業員の満足を向上させること。また、昨年上場しましたので株主、投資家の皆様に満足いただくことも重要です。さらに、選択的CSRとは、社会に大きな貢献を果たすための企業文化活動、環境保全活動などです。今回のレポートでは、事業的CSRを充実させるように力を入れました。

指摘をもとに、色合いやレイアウトに配慮

写真——デザインに関して、留意された点をお聞かせください。

川島 昨年は、様々な色覚の方に見分けがつく色の配置ができていなかったので、色合いをどう変えるか苦労しました。今年は、印刷会社さんと協力して、事前に色を判別して、様々な色覚の方にもわかるような色合いに仕上げていきました。表やピクトグラムなど、昨年ご指摘いただいた細かいところについてもわかりやすさに留意して作りました。

写真——CSRレポートは、ステークホルダーとの重要なコミュニケーションツールですが、なかには、ご高齢の方も多いらっしゃると思います。どのように配慮されましたか?

川島 文字の大きさやレイアウトが大きな課題でした。文字は大きければいいというものではなくて、やはりメリハリをつけなくてはいけないので、表題と内容文章の文字の大きさのバランスを考えました。フォントについては、イワタのUDフォントを採用しました。それから、ページの右側に写真や図表を入れることで統一感をもたせたのも大きいと思います。内容的には、グループの活動と各社の活動のメリハリをつけるように気をつけました。昨年のアンケートで、「グループの話か各社の話かわからない」というご指摘をいただき、今回は大きな見出しで全体のことを記載し、各社の固有の部分については各社ごとに社名ともに記載する、という構成にしました。

さらに見やすくするのが今後の課題

写真——UCDA認証を取得されるにあたって苦労した点はどこでしょうか?

川島 今回は、写真のキャプションについてご指摘をいただき、写真の大きさや文字量やレイアウトなどを考慮して改善しましたが、統一が不充分でした。今後の課題です。その他、UCDAさんから18点の様々なご指摘を受けて、多くのステークホルダーの皆様に見ていただくことに配慮し、読み手の立場に立ってひとつひとつ丁寧に改善しました。

——今後の課題をお聞かせください。

川島 よりいっそう見やすくするのが課題なのですが、1ページ当たりの情報量とその文字数や文字の大きさなども考えていくと、なかなか解決は難しいですね。今回、UCDAさんから「1ページの文字の量が多い」というご指摘をいただきました。CSRレポートとしては文字の量をかなり整理したつもりですが。また、読みやすくするために文字を大きくすると、どうしても行間が狭くなってしまいます。また、ビジュアルとのバランスもあります。左側の文字が多くて右側のビジュアルが少なかったら、バランスが悪い。レイアウトに関しては、UCDAさんのご指摘でかなり変えて、良くなったと思います。さらに、ゆくゆくは眼の不自由な方への配慮なども考えていかないといけないのではと思っています。すぐには無理だと思いますが、意識していきたい事柄です。

——「見やすく、わかりやすく、伝わりやすい」ということに、実に真摯に取り組んでおられますね。最後に、UCDAの活動へご意見をいただければと思います。

川島 UCDA認証については、第三者によるわかりやすさの基準として、よりいっそう社会的な認知が進むことを望みます。マスコミを通じてPRをお願いします。認証を重ねるにつれ、既知の問題点は改善されて、わかりやすさが向上していくので、そのことももっとアピールしていただくと助かります。私たちも進化していきたいと思っていますから、UCDAさんも進化して提言していただきたいと思います。

——われわれも絶えず進化するように努めています。そして、UCDA認証がわかりやすさの基準になるよう努力していきますので、今後ともよろしくお願いします。

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス

住所: 〒104-0061 東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル
TEL: 03(3563)5526
業務内容:

ポーラ・オルビスグループは、純粋持株会社制を導入しており、(株)ポーラ・オルビスホールディングス及び連結子会社25社、計26社(2011年4月1日現在)で構成され、化粧品事業をはじめとした「美と健康」に関わる事業を中心に展開しています。当社は、持株会社として、グループ戦略の策定、グループ経営のモニタリング機能を果たすとともに、グループ会社への経営管理業務(経営上の重要事項に係る指導・助言等)を行なっています。

化粧品事業においては、化粧品の研究開発、製造、販売等を行なっています。ポーラブランドでは主に委託販売契約に基づく訪問販売チャネル、オルビスブランドでは主に通信販売及び店舗販売チャネル、pdcブランドで主に一般小売店流通チャネル、というようにチャネル別のブランド展開を行なっています。

代表者: 代表取締役社長 鈴木 郷史
URL: http://www.po-holdings.co.jp/