「第三者」による客観的な評価

特別対談:大西秀人-2

●市民との双方向コミュニーションが大切

福田:市長のマニフェストには「ユニバーサルデザインの推進」があり、ユニバーサルデザイン推進室を設置されたそうですが、どのような組織ですか。
写真大西:ユ ニバーサルデザインはバリアフリーの延長線上というか、障害者福祉的に捉えられがちです。ユニバーサルデザインはバリアフリーと大きく違うわけではありま せんが、すべての人にとって使いやすいとかわかりやすいという、もっと根本的な考え方だと思うのです。人間の生活そのものを快適にするものというか。行政 が取り組むにあたり、障害者福祉に関する部署が担当すると福祉の分野に限られてしまうので、全体を横割りで統括する組織が必要だという考えから、政策部門 を統括する市民政策局の中にユニバーサルデザイン推進室を設けました。すべての分野を網羅したユニバーサルデザインの基本指針の作成をしているところで す。
福田:高松市として、具体的にユニバーサルデザインに取り組んでいる実例をお聞かせください。
大西:まず最初に、平成16年の段階で、ホームページの閲覧性を向上させました。閲覧している人が自由にホームページ上の文字の大きさや色、背景色を変更したり、音声読み上げ機能を利用できるようにしました。
それから、庁舎の案内表示がわかりにくいという声があって、職員が「さわやかサービス推進チーム」をつくり、表示板の切替や案内表示をわかりやすい場所に 取り付けたり、来庁者にとって理解しやすいデザインづくりにも、7年前から取り組んでおります。また、観光案内板などの、わかりやすさ・見やすさも大切で す。また、外国語表記がどの程度できているか、国際的なわかりやすさにも気を配っています。
写真福田:マニフェストには「情報公開の徹底」「コミュニケーションの活性化」「説明責任の全う」という言葉がありますが、やはり市民の目線で行政をおやりになるということなのでしょうか。
大西:いままでは行政サービスというと、行政側から一方的に与えるだけで、ある程度は、「こうしなさい」と言うだけで 済んでいたと思うんです。それが、だんだん価値観も多様化し、市民の皆様からも様々なニーズが出てきて、行政展開のあり方の可能性も広がるなか、最も市民 に近い基礎自治体——「行政の先端組織」と我々は言ってるのですが——は、きちんと市民とのコミュニケーションをとれることが絶対不可欠なんです。従っ て、そのためには、市民の皆様との間で情報を共有しないとならない。役所側が情報を全部握っていて隠すのではなくて、オープンにできる情報は基本的にすべ てオープンにしましょう、ということで、情報公開を徹底し、その情報をもとに市民の皆様とやり取りをしたうえで物事を決め、さらに市民の皆様にきちんと説 明する。私が市長になるときに「3つの方法論」ということで、挙げさせていただきました。とくにコミュニケーションは、これから非常に重要になってくるの だと思います。
福田:コミュニケーションは一方的なものではなくて……。

大西:双方向であることが大切なんです。

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