「第三者」による客観的な評価

02:元原 利文(後篇)-3

●視点を変えたチェックでわかりやすさを

写真元原:今 まで専門家は「俺の言うことを聞け」という立場から常に話をしていました。たとえば専門の世界にはそれぞれ「jargon(ジャーゴン)」といわれる業界 内の特殊用語を指す言葉があります。業者や社員の中ではよくわかるけれど、その世界以外の人たちにはちんぷんかんぷんという言葉です。これがどの世界でも 横行していて、法律の世界では「legal jargon」、保険業界にも金融業界にも「jargon」がありました。最近はそういう言葉を逐次なくしていこう、jargonはもう捨ててしまいま しょう、という流れになってきています。
つまり、一般の方がわかる言葉を使うことが一つの物差しになってきたのですね。老いも若きもその文章を見て理解できるように提示してほしい。「これはど ういう意味ですか?」などという言葉がゾロゾロ出てくるようでは駄目なんです。機械製品の説明書でもそうですね。英語に翻訳しようとすると、どれが主語か 述語かわからなくて翻訳家がお手上げになってしまうようなものが、まだまだ日本では横行しているのが現状です。
福田:ということは、我々の目指そうとしている地点は同じ方向にあるということですね。ユニバーサルは、社会の進歩とともにどの分野においても必要である、と。
元原:とはいえ、変えたいといっても、外からはなかなか出来にくいものです。やはり内部から動きが出ないと難しい。保険の約款であれば保険会社の担当者たちが動く必要があります。
特に、内部にいる方が「自分たちはこれでよくわかる」と思われても、一般の方が十分理解できるかどうかは判断しにくいので、一つ視点を変えたチェックを自ら課さなければならないと思いますね。外部の方に見てもらうということが必要な場合もありましょう。
写真福田:言葉そのものが非常にあいまいな場合もありますよね。僕ら関西人などはよく「まあまあですわ」などと返事をしますが、やはり、そういうあいまいな言葉は法律では使えませんよね。
元原:
解釈の幅が大きすぎる恐れがある場合なども、やはり法律の専門家などに見てもらうことも必要かもしれません。将来争いになった時 に紛争の余地が残るような表現なのかどうかというチェックをしながら、出来るだけ一般の消費者の方々にわかるように近づける努力が常に必要だと思います。

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