「第三者」による客観的な評価

12:杉山 恒太郎(後篇)-4

●生活者一人ひとりの総体がユニバーサル

福田:ユニバーサルデザインやコミュニケーションデザインを、どうお考えですか?
写真杉山:UCDA さんがなさっているユニバーサルデザインは、非常に具体的ですよね。ある基準や規範をもって、かたちでも文字でも、より広く、なるべく万人にわかるように 親切にあるべきだと。さらに、私たちからすると、ユニバーサルデザインはグローバルに通用することとイコールなのです。これだけ世界中がつながっているな かで、自分のしていることが世界のどこかとつながっているという意識がないと、目の前のリアリティを失う気がします。現実には、とても小さな領域で小さな ことをやっていたとしても、どこかでそのことが地球の端っこの人たちとつながっている、という意識が重要だと思います。
福田:個人的に、ユニバーサルはパーソナルだと思うんです。要するにユニバーサルデザインは、こういう人にも、こういう人にも、すべてに適合しているということ。
杉山:1人ひとりの総体がユニバーサル。
福田:つまり、パーソナルを大事にするデザインだと。
杉山:そこを逸脱すると、つまらないノッペラボウの、表情のないものになりますよね。おっしゃるように、万人はたくさんの個性の集まりなんです。
写真福田:最後に、「わかりやすさ」というテーマで何かおっしゃりたいことはありますか?
杉山:難しいことをわかりやすい言葉で話せるのは、すばらしいですよね。豊富な知識があり、すごく考えて、咀嚼して、 整備するから、とてもわかりやすい言葉でみんなに親切に話すことができる。たいへんなプロセスがあるんです。でも、わかりやすくすることは、考えなくても すむようにすることだとはき違える人が少なくない。わかりやすく話すことは短絡的に話すことではないんですが、意外に混同しがちなんです。
福田:どうもありがとうございました。

プロフィール/杉山恒太郎(すぎやま・こうたろう)

1948 年東京生まれ。立教大学経済学部卒業後、電通入社。クリエーティブディレクション局にて、クリエーティブディレクターとして活躍。主な作品に小学館「ピッ カピカの一年生」、セブンイレブン「セブンイレブンいい気分」、サントリーローヤル「ランボー」シリーズなど。カンヌ国際広告映画祭審査委員を2年間、ま た、サイバー部門で1年間務め、イギリス「キャンペーン」誌でも特集される。現在は、電通常務執行役員、立教大学現代心理学部教授、ロンドン広告賞国際審 査員など、多方面で活躍中。

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