UCDA認証「伝わるデザイン」を取得

 

カーディフ損害保険会社 日本における代表者 ピエール・オリビエ・ブラサール

カーディフ損害保険会社 日本における代表者 ピエール・オリビエ・ブラサール

(インタビュー)カーディフ損害保険会社

マーケティング部長 稲田和貴 氏

保険金部長 中村維男 氏

マーケティング部マネージャー 松野恭子 氏

お客様相談室スーパーバイザー 山田寿美子 氏

(インタビュー)カーディフ生命保険会社

契約サービス部長 松本至 氏

団体保険業務部マネージャー 窪田朋子 氏

――カーディフ損害保険会社、カーディフ生命保険会社様は、「団体信用生命保険・就業不能信用費用保険のしおり」と「申込書兼告知書」でUCDA認証「伝わるデザイン」を取得されました。認証取得に至った経緯をお聞かせください。

マーケティング部長 稲田和貴

マーケティング部長
稲田和貴

 稲田:私どもは、住宅ローンに付帯する「団体信用生命保険」など、住宅ローンに関わる保険に強みをもつ、ユニークな保険会社です。通称「ガン団信」と呼ばれる、「ガンになったとき住宅ローンの債務残高がゼロになる保障」を、日本で初めて導入しました。住宅ローンの保険は、銀行をはじめとする私たちの提携金融機関を通じて、住宅ローンとともにお客様(生活者)に届けられる保険です。ですから、お客様(生活者)対して「わかりやすく」するということは、金融機関の価値を高めることにもなります。特に今回、認証を取得した「団体信用生命保険のしおり」は、約款と同格のものですから、チャレンジしなければ、専門用語や回りくどい言い回しなどに侵されて、お客様にとってわかりにくいものになってしまいます。ローンを完済するまで続く保障期間は長く、かつ大きな金額を保障する住宅ローンの保険は、お客様にとっても金融機関にとっても非常に重要な保険です。この「しおり=商品説明書」がわかりにくいと、銀行やお客様からのお問い合わせが多くなります。これが関わるすべての人と組織のストレスになってきます。これは今回同時に認証を取得した「申込書兼告知書」でも同じです。本文の構成やデザイン、文章にいたるまで抜本的に見直して、とにかく「わかりやすく」するということが今回のミッションでした。

――改善を進めるうえで、難しかったことはどのようなことですか。

保険金部長 中村維男

保険金部長
中村維男

中村:住宅ローンの保険の契約者は私たちが提携する金融機関で、お客様(ローン契約者)は被保険者という関係です。保険契約者である金融機関には「保険約款」を、被保険者であるお客様には、「被保険者のしおり」をお渡しします。「しおり」は約款をわかりやすくしたものですが、お客様の権利に関わる保障内容は正確に記載する必要がありますし、法律に関わる内容も多く、どうしても難しい表現や言葉使いになってしまいます。もっと「わかりやすく」しなくてはいけないということと、誤解させてはいけないということの間で、なかなか「わかりやすさ」に近づけませんでした。原案を作成する際には、各チームで打合せしたものを持ち寄って、何度も検討しました。しかも当社のユニークな住宅ローン保険は、生命保険の商品と損害保険の商品を組み合わせているので、お互いに歩み寄ることも必要でした。

団体保険業務部マネージャー 窪田朋子

団体保険業務部マネージャー
窪田朋子

 

窪田:「しおり」や「申込書兼告知書」がわかりにくいことが原因でお客様からお問い合わせをいただくことがあります。お客様の立場で見ると、情報が多すぎてわかりにくくなっている。「わかりやすく」するために情報を増やさないことで意見が統一、チームがひとつにまとまりました。 いままでも、お客様の問い合わせをもとに改善をしてきましたが、一時的なものになっていました。そこで抜本的に改善するには自分たちだけの視点だけではなく、第三者の客観的な視点を基準にしようということになりました。

 

 

――認証を取得した「しおり」と「申込書兼告知書」の社内外からの反応はいかがですか。

お客様相談室スーパーバイザー 山田寿美子

お客様相談室スーパーバイザー
山田寿美子

山田:出来上がったものを見て、自分たちも素直に「わかりやすく」なったと思いました。特に就業不能状態の説明の部分などはとてもよくなったなと思います。以前は金融機関から問い合わせがあっても、その記載場所を探すのにさえ時間がかかっていたこともありました。改善後のものは、見出しもはっきりしているし導線も「わかりやすく」できていますので、どこに何が書かれているか明確ですし、理解もしやすいのではと思っています。

松野:この新しい「しおり」、「申込書兼告知書」をご覧いただいた金融機関の方々からも「いいですね」「早く切り替えてほしい」といううれしいリクエストを数多くいただいています。 このプロジェクトをはじめて1年になります。12月以降、順次切り替えていく予定ですので、お客様に使っていただくのが楽しみです。

 

 

――御社のお客様とのコミュニケーションついてお聞かせください。

窪田:私たちのチームは、「申込書兼告知書」上の、「不備」を減らすことがミッションでした。「不備」とは、お客様が必要な項目を書き忘れたり、間違った内容を記入してしまうことです。不備はお客様の不満につながります。実際、不備の修正を何度もお願いすると2割ほどのお客様が契約に至らず、販売機会のロスにつながります。住宅を買うことが目的のお客様にとって、ローンの審査に加えて保険のことがわかりにくいと大きなストレスになります。今回の改善で、お客様にとって「わかりやすくて書きやすい」申込書兼告知書となり、不備が減ることを期待しています。

マーケティング部マネージャー 松野恭子

マーケティング部マネージャー
松野恭子

松野:私たちのビジョンは、「真にお客さま志向で、イノベイティブな金融サービスビジネスをパートナーとともにつくる」ことです。住宅ローンの分野でいえば、お客様に住宅ローンの保険を販売するのが目的ではなく、パートナーである金融機関の住宅ローンビジネスを助けることが仕事です。この保険が住宅ローンビジネスの足かせになってしまってはだめだと思っています。

契約サービス部長 松本至

契約サービス部長
松本至

松本:カーディフでは全世界で「カスタマーセントリックプログラム」というプログラムを展開しています。その中でも約款や申込書、パンフレット等、お客さまにお渡しする文書の平明化は、大きな柱のひとつになっています。フランス本社では、約款や申込書、パンフレット等を作成するときの基準のひとつとして、「B1ランゲージを使用する」という基準があります。「B1ランゲージ」とは、単語や文書の読解レベルをA1、A2、B1、B2、C1、C2の6段階に分けたうちのひとつで、B1は、中学生が平易に理解できるレベルを指します。 また「バリュースター」という社内の評価基準があり、商品性やサービスの内容、しおり等の保険文書の分かりやすさなど複数のカテゴリーにわたって数十個のチェックリストを用いてお客さまにご提供する「価値」を指標化しています。保険文書の分かりやすさに関する項目では、今回UCDAの基準に合わせて改良を繰り返した結果、ほぼ満点を獲得することができました。 「カスタマーセントリックプログラム」は、お客様に保障の内容を理解していただき、期待していただく、そして信頼していただくためのプログラムです。いま、このプログラムをもとに、全社的にお客様視点で改善を進めています。このプログラムとUCDAの技術で「わかりやすい」ドキュメントを作っていきたいですね。

 

――UCDAについてお聞かせください。

稲田:住宅ローンの保険のしおりや申込書類は、金融機関の日常業務に欠かせないものであり、改訂の際には提携する金融機関のご理解とご協力が不可欠です。今回のような一斉改訂時には、自分たちだけで改善するのではなく、第三者の客観的な評価を取り入れたうえで、今、私たちにできる最善のツールをご用意するために、UCDA認証「伝わるデザイン」取得をめざしました。 「わかりやすさ」を研究して基準を作ることは大変なことだと思います。誰もやっていなかった。感性や感覚ではなく、「わかりやすさ」を定量化、数値化する技術は、とても参考になりました。定量化、数値化することで問題点がはっきりし、改善の道筋が見えてくる。合理的な方法だと思いました。また、第三者機関として、客観的に評価をして認証をする。実際多くの評議委員の方々の目を通して、様々な指摘をいただくのですが、その人が評価することのブレについても標準化しようとしている。なかなか出来ることではないし信頼できると思いました。 認証を得たことがゴールではなく、ようやくスタート地点に着いたと考えています。これからも、UCDA認証を「わかりやすさ」のひとつの基準にし、改善努力を続けていくつもりです。

 

――本日はありがとうございました。