シニアのお客様視点で改善することが、全てのお客様に繋がる

 

(写真)代表取締役社長 田中勝英 氏

(インタビュー)保険金部 部長 勝島明美 氏

 

――今回、ベストシニアサービス(BSS)の取り組みとして、「お手続きガイドブック」と「保険組曲Best パンフレット」が、生命保険業界では初めての加齢に配慮した「伝わるデザイン」の認証を取得されました。BSSについて、お聞かせください。

勝島:太陽生命では平成26年4月より、「シニアのお客様に最も優しい生命保険会社になる」ことを目指して、「BSS」の取り組みを始めました。社長がリーダー、全執行役員をメンバーとするプロジェクトチーム(BSSPT)を立ち上げ、サービス・商品・制度・帳票・ホスピタリティなどをシニアのお客様の視点で見直して、改善・改革することに全社をあげて取り組んでいます。「ご契約時からアフターフォロー、お支払いに至るまで、あらゆる局面においてシニアのお客様に最高のサービスをお届けする」を目標に、ミッションごとに8つの部会を立ち上げて、具体的な取り組みを行っています。その中の一つに、「ユニバーサルデザイン部会」があり、全ての帳票をシニアのお客様の視点で見直し、「わかりやすい内容、伝わるデザイン」に改善することを目的として、お客様との接点で使用する全3000帳票の見直し・改善を開始しました。シニアのお客様を中心に見やすくわかりやすく改善することが、全てのお客様にも繋がるものと考え、取り組んでいます。

 

――8つの部会というのは、会社を横断的に編成した部会になるのでしょうか。

勝島:「ユニバーサルデザイン部会」の他に、お客様サービスに関する制度の見直し、お客様訪問活動、商品開発、サービス拠点である支社での業務改善など、テーマ(ミッション)ごとの部会を設け、支社を含めた関連部門が各部会の取り組みに参画することで、全社横断的に活動する態勢としています。また、各部会の取組み状況は、BSSPT会議に報告しています。

 

――昨年、「重要事項のお知らせ」と「契約概要」でUCDA認証「伝わるデザイン」を取得され、改善が始まりました。今回の「お手続きガイドブック」は、高齢者の方を非常に意識されて改善をされたということですが。

勝島:お客様にご提示する書面においては、情報の「わかりやすさ」が求められていますが、今までは明確な基準がありませんでした。そこでUCDA様のような第三者機関の客観的な評価が必要だと感じ、帳票の評価を依頼したことが始まりでした。その結果、「重要事項のお知らせ」と「契約概要」についてUCDA様認証「伝わるデザイン」を取得することができました。弊社には高齢のお客様もたくさんいらっしゃるので、今回の「お手続きガイドブック」は、高齢者にも「見やすくてわかりやすい」ものに改善していくことが必要だと感じていました。もちろん、弊社でも今まで「わかりやすく」することに取り組んできましたが、「本当にお客様にわかりやすい帳票なのか?」という判断については、やはり客観的な評価が必要だと感じていたので、今回UCDA様の「加齢配慮ソリューション」を導入し、UCDA様の知見を活用して進めてきました。その結果、独自の「高齢者に見やすいデザインルール」の策定に至りました。

 

――「お手続きガイドブック」は、いつ頃からお客様のところに届くのでしょうか。また、社内での評価はいかがですか。

勝島:今回改善をした「お手続きガイドブック」は、平成27年2月から配布を開始しています。2月に開催した、全社を挙げた業務改善運動(“Q-UP”<クアップ>運動と呼称)の全社発表大会において、今回はBSSの取り組みとして、ユニバーサルデザイン部会から「お手続きガイドブック」「重要事項のお知らせ」などについて、工夫したところ、改善のプロセス、改善事例を発表しました。参加者から「手続きの流れがわかりやすくなった」などの感想が寄せられました。また、保険金部が主催で、社外の弁護士や医師、消費者問題に詳しい専門家の方からご意見をいただく委員会を開いているのですが、その場でも、「わかりやすい」とお褒めの評価をいただいています。

 

――今回の改善で、お客様からどのような評価がいただけるか楽しみですね。

勝島:今回の改善はこれで終わりではないと思っています。UCDA様から認証され、社内からは「見やすくなった」「わかりやすくなった」という声をいただいていますが、この結果に満足することなく、お客様の声や、お客様と直接接する職員の意見等を吸収して、更に改善を進めていきたいと思っています。

 

――今回の改善のポイントである「加齢への配慮」について、留意された点がございましたら、お聞かせください。

勝島:UCDA様の協力で、情報量、フォントサイズ、色のコントラストなど、9つの基準を作り、「高齢者に見やすいデザインルール」を策定しました。そして、作る側の主観ではなく、このルールに基づいて改善を進めました。例えば、シニアのお客様の視覚特性や視認性などに配慮し、文字と図表を大きく配置しました。また、UCDA様と共に、高齢者のユーザーテストを繰り返し行いました。その結果、行間や字間のバランスが読み易さに影響を与えることがわかりました。表現方法についても、過度な敬語は無くして文章を簡素化しつつも、シニアのお客様を意識して丁寧な表現をすることに努めました。このような工夫により、「見やすさ・わかりやすさ」の改善が図られたのだと考えています。

 

――昨年から約1年間、UCDAと一緒に改善活動をされてきましたが、UCDAについて、ご意見をお聞かせいただきたいと思います。

勝島:今回、この「お手続きガイドブック」を作り上げるにあたり、UCDA様にご協力をいただきました。いろいろな意見を交わさせていただいて、協力して一つのものを作り上げたという実感が湧いています。やはり客観的な視点で、専門機関の方から効果的なアドバイスをタイムリーにいただけた、ということが大きな成果です。数値化された結果をご提示いただけたのも、作る側が客観的に判断できる為、非常に大きな成果だと思っています。また、弊社にはUCDA様の資格認定制度において、1級9名、2級4名の合格者がおります。これは、お客様の帳票を扱う全ての部署において「伝わるデザイン」の認証基準を理解し、ユニバーサルコミュニケーションデザインのノウハウを社内に浸透させていく上で、大いに役立ちます。今後も今回の取り組みを進化させ、継続的に帳票の質を上げていくことが重要だと考えています。

 

――本日はありがとうございました。