「フェスティナレンテ」とは、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの座右の銘で「悠々として急げ」を意味します。
このコーナーでは、日々情報コミュニケーションの課題に悠々と取り組みつつ、UCDを導入し、スピーディーに結果を出している企業・行政・団体を取材します。「わかりやすさ」への取り組み(プロジェクトUCD)における苦労や、現在の活動、今後のビジョンについてお話しいただきます。

インタビュー 日本生命保険相互会社 個人保険システム部 部長 坂本 竜作 氏 (取材日:2018年9月4日)

全国の営業職員用に2019年4月から6万台を導入する新型タブレット端末のプロジェクトについてお聞きします。

弊社では、2012年の前回リニューアル時に、契約手続きの電子化に業界でいち早く取り組んでいましたが、十分とは言えませんでした。2015年後半から今回のプロジェクトが動き始め、「より見やすく、わかりやすいデザインにしたい」という思いのもと、大幅な見直しをすることにしました。

今回のプロジェクトでは、3つの柱として、「① 高機能で軽量化された最新タブレット端末の導入」、「② ユーザビリティの向上」、「③ 先端ITによるお客さまサービスの向上と営業職員の利便性向上」を掲げています。

新型タブレット端末の特徴をお聞かせください。

3つの柱の中で、「② ユーザビリティの向上」に重点を置いて開発を進めました。新型タブレット端末は、従来品と比べ約1/4の薄さ、約2/3の重さになり、持ち運びやすさや操作性が向上しています。画面デザインについても、スマートでわかりやすく、伝わりやすいものとなるよう意識しました。また、ロケーションフリーな新しい働き方につなげることも考慮しています。

お客さまも助かる、営業職員も助かる、そして「タスク・オール=すべての仕事のプラットフォームになる」という意味合いから、新型タブレット端末の名称を「TASKALL(タスカル)」としました。

開発を進めるうえで、特に苦労されたことはありますか。

「誰が見てもわかりやすい画面とはどんなものか」ということです。実際に使用するお客さまと営業職員の年齢はさまざまで、20歳代から90歳代にまで及びます。また、使用する状況もいろいろありますので、社内外の方から意見をうかがいました。いただいた多くの意見を画面の限られたスペースに反映させることが、ひと苦労でした。

UCDA認証「伝わるデザイン」の取得に至った経緯をお聞かせください。

設計の当初から、お客さまや営業職員にとって「わかりやすく、操作しやすい」手続き画面にしたいという思いがありました。偏りを防ぐためにも社内の議論だけではなく、幅広い知見を持つ第三者の評価が重要だと思ったのです。

画面デザインの初期段階から、UCDAの専門家と生活者の評価を取り入れることで、客観的なガイドラインになればと考えました。

評価・改善を経てUCDA認証を取得した結果、社内の反応はいかがですか。

自分たちの開発業務が実を結んだ結果であり、良いものができたと開発に携わった者は喜んでいます。

認証取得にあたっては、生活者に協力をいただきながらユーザーテストも十分に取り入れました。生活者目線の操作性や理解度などは、これまで自分たちの中になかった知識・アイデアを知ることができ、今後の業務に大いに活用できると思います。また、高齢者に配慮したデザインとして、フォントや色にも注意するようになり、今後の開発にも生かせることは大変有意義だと思います。

認証取得以外にも、「わかりやすさ」への取り組みは進んでいますか。

金融庁が出した「顧客本位の業務運営に関する原則」によって、取り組みの重要性が増しています。弊社内にも帳票・画面審査というプロセスはありましたが、「正確性」や「漏れがないか」といった「コンプライアンス上のチェック」に重点を置いていました。

それがここ数年、「お客さまにとってわかりやすいか」という点が大変重要になってきています。

当部内でも、UCDA認定資格の取得を推奨しています。昨年度は、認定1級を2名、2級を4名が取得しました。資格取得者自身がわかりやすい帳票・画面を設計するのはもちろんのこと、知識を社内で共有していきたいと思っています。

会社全体での取り組みについてはいかがですか。

帳票の電子化は今後どんどん進むでしょう。しかし、紙にも一貫性などの長所があります。電子化を最大限進めながらも、紙媒体の機能もうまく使い分けながら、トータルでのわかりやすさを追求して行かなくてはなりません。よりわかりやすい帳票にするため、今年から帳票・画面設計ガイドラインを見直し、また「プランニングシート」を新設し、これらに基づいた帳票の開発を実施しています。

UCDAへのご意見、ご希望などありましたらお聞かせください。

生命保険の業務では、難しい専門用語が多いため、お客さまにとって本当に「わかりやすい」「伝わりやすい」ものを作ることは簡単ではありません。「わかりやすさ」についての豊富な知見、スキルを持つUCDAには、情報提供などのサポートだけでなく、私たちの情報コミュニケーションについて、第三者機関としての客観的な評価もしていただきたいと思っています。

また、我々保険会社は、これからも商品やサービスそのものを「よりわかりやすく」していかなければなりません。変わり続けるお客さまの動向を常に把握していくには、膨大な労力が必要です。目指す「わかりやすさのスタンダード(標準)」を示し、頼りになるガイド役として、UCDAに期待しています。

本日はどうもありがとうございました。