岩木氏・鈴木氏

インタビュー
(インタビュー当時・写真右から)

株式会社名鉄グランドホテル
マーケティング&セールス部 品質管理担当マネージャー兼 マーケティング担当 岩木 徹也氏

ホテル内レストラン
カジュアルダイニング アイリス 係長 鈴木 智絵氏

― この度、名鉄グランドホテルさまはUCDA認証ピクトグラム「みんなのピクト」を、ビッフェ会場のアレルギー表示に採用いただきました。本日は採用に至った経緯や、アレルギー表示における課題など伺いたいと思います。

岩木:私は普段、マーケティング&セールス部で品質管理のマネージャーを担当しています。「品質管理」と聞くと食品のイメージが強いかと思いますが、レストランや宿泊などホテル全体の品質向上も担っています。今回はレストランの品質向上の一環として、「みんなのピクト」の採用を決めました。

― 「みんなのピクト」を採用するまでの経緯を教えてください。

岩木:もともとは、ビュッフェカードのイラストに●をつける方法や、文字だけでアレルギー表示を行っていました。しかし海外のお客さまも増える中で、より多くのお客さまにわかりやすい表示が何か検討し、「みんなのピクト」の採用を決めました。

旧ビュッフェカード                 新ビュッフェカード

旧新カード

― 海外のお客さまを始め、小さいお子さんにもピクトグラムはわかりやすいですよね。2023年の訪日外国人は2500万人以上とも言われていますが、実感としていかがですか?

鈴木:実感します。朝食ですと、現在半数くらいのお客さまが中国などアジア圏からのお客さまです。旧正月の時期は特に多く、ファミリーやご年配の方のツアーでご利用いただくこともあります。

岩木:例えば中国語は、簡体や繁体など種類が多く、全てに対応すると文字が小さくなったり読みにくくなってしまいます。ピクトグラムであれば、言語を超えて直感的に理解ができると感じました。

― 「みんなのピクト」は、2023年に無償提供が開始されましたが、提供先の半数近くが、ホテルのビッフェ会場となっています。より安心、安全に食事を楽しんでいただくため、各社試行錯誤されている印象です。
アレルギー以外に、食事提供における課題はありますか。

鈴木:ハラル対応です。海外ツアーでのご利用も増えていますし、宿泊以外にも、ランチやディナーなどでご利用いただくケースもあります。ハラル対応で難しいのは、個人差や地域差が非常に大きいということです。

岩木:アルコール一つとっても、調味料レベルで禁じられている場合もあります。多様なニーズをもつお客さまにどこまで対応し、コミュニケーションをとっていくかは課題です。

岩木氏

― 実際にお客さまから質問を受けることはありますか?

鈴木:あります。海外ツアーの場合、コーディネーターから事前にお客さまのニーズを伺うこともあります。事前に把握している場合は、カードを差し替えるなど準備を行います。
またメニュー内容も、ランチは2カ月ごと、デザートはシーズンによって変わりますし、日替わりメニューも数種類あります。その都度ビッフェカードを準備し、差し替えを行っています。

― アレルギーをもつお客さまからの問い合わせはどうでしょう。

鈴木:お子さま連れの多いランチタイムは、親御さんから直接質問されることもあります。3大アレルゲンの小麦、卵、乳は特に問い合わせが多いです。ピクトグラムであれば、お客さまとホテル側の共通言語として使用できるので、こちらとしても説明しやすく、安心です。

ビュッフェ会場

― UCDAのピクトグラムは、アレルギー当事者の方も含む1000名以上の方に調査に協力いただき、私たちの既知性も踏まえて作られています。企業、団体が独自に作っているピクトグラムもありますが、その点「みんなのピクト」は根拠のあるピクトグラムです。

岩木:検索するとフリー素材や有償のものなど様々なピクトグラムがありますが、「みんなのピクト」は一つひとつの食材の形がわかりやすく、根拠のあるピクトグラムであることも、採用の決め手でした。

鈴木:食品衛生の外部コンサルタントとも検討し、当初は義務表示の8品目に〇×を付け、使用・不使用を表示する案もありました。しかし小さなビッフェカードの場合一つひとつのピクトグラムのサイズが小さくなる点や、今後表示義務の食材が増える可能性も考え、入り口のポップとカードを併用し、現在は使用しているアレルゲンのみを表示しています。

― 「みんなのピクト」を採用後の反応はどうですか?

鈴木:私たちはもちろん、調理スタッフからも「見やすくなった」という声が挙がっています。お客さまも、入り口にあるポップを立ち止まって見てくださる方が多く、関心の高さが伺えます。

アレルギー表示
アレルギー表示のポップ

― 最後に、今後の展望をお聞かせください。

鈴木:姉妹ホテルである中部国際空港セントレアホテルも、「みんなのピクト」の採用を検討しています。多様なお客さまに向け、引き続きグループ全体のわかりやすい表示に努めていきます。

岩木:ビッフェ会場以外にも、金額によってメニュー内容が流動的な宴会会場での表示も課題です。他社はどのように取り組まれているのか、他社の事例も参考にしつつ、検討を続けていきたいと思います。


本記事で紹介したUCDA認証ピクトグラム「みんなのピクト」の詳細は、こちらからご覧いただけます。

みんなのピクトとは?
生命に関わる「食物アレルギー」の情報を正しく伝えるため、延べ1000名以上が参加した科学的評価を経て「わかりやすさ」が認証された唯一のピクトグラムです。