プロフィール
羽山 明(はやま あきら)

1987年3月慶応義塾大学理工学部卒業。同年4月旭化成工業株式会社(現旭化成株式会社)入社。
1990年9月理想科学工業株式会社入社。
営業本部長、専務取締役、副社長を経て、1999年6月代表取締役社長に就任。

「世界に類のないものを創る」が開発ポリシー

― まず貴社の事業内容をお聞かせください。

羽山:当社は1946年9月に創業しました。今年78年目になります。創業者である私の父は陸軍士官学校を卒業後、任官してすぐに終戦を迎え、その後士官学校で経験があったガリ版刷りの印刷会社を始めました。物資の不自由な時代で自社で使用するインクを自分で作ったのですが、それを買いたいという同業者からの要求に応じて、1954年からインクの製造販売を始めました。1977年にはプリントゴッコ、1980年には今の主力商品の一つであるリソグラフを発売し、ここ40年はプリンターメーカーとして活動しています。「世界に類のないものを創る」を開発ポリシーとし、独自の製品・ソリューションを提供しています。

― 他社ができない分野をされているということですね。

羽山:同じような方式のプリンターを作っている会社は世界にあまりありません。特に高速インクジェットプリンター「オルフィス」のプリントスピードは、毎分165枚でありオフィス用途として世界最速です。しかも事務所の100Vコンセントで高速印刷ができるというのが強みです。

羽山氏

― 私も各地の市役所に行って話をしますが、リソグラフはよく使われていますね。

羽山:ありがとうございます。紙のコミュニケーションは情報弱者にやさしいメディアだと思います。デジタルは素晴らしいメリットがありますが、一方で機器の値段が高いことや、機器がすぐに古くなることなどデメリットもあります。紙は安価なコストで文書や画像を大量にヴィジュアルにできます。また、どのような状況でも確実に人に伝わる点で優れています。

― 私たちも弱者基準でスタートしています。情報弱者ということです。

羽山:全く同じですね。紙のよさも見直されていいと思います。

その年の「合言葉」で社員の心を一つにする

― 毎年「合言葉」で、その年のひと言を書にして掲げているそうですね。その辺りのことをお聞かせください。

羽山:新年に「合言葉」を出すことは、創業者が1964年に始めました。当時は12月決算でしたから、新しい期の方針発表だったようです。当社は現在、3月決算ですが「合言葉」は1月に出しています。その年のコンセプトをひと言で表すというのは難しいでね。

― 2024年の合言葉は「自由に」ということですが、どんな想いがあるのでしょうか。

羽山:世の中はどんどん変わっていくので、今までのしがらみを取り払い、自由な発想で考え行動しようということで「自由に」としました。偶然ですが、今の国際情勢にマッチした言葉だったかなと思います。

― 合言葉を書にすることで、気持ちが伝わり社員の皆さんの心が一つになったり、目標に向かってモチベーションがあがりますね。

羽山:合言葉は、額に入れて事務所、各事業所に掛けてもらっています。新年早々には、今年の合言葉はこういう気持ちで書いたということを日本語と英語の挨拶で伝えます。
創業者は、社会のコミュニケ―ションを豊かにして世界をより良くしたい、その手助けをしたい、と常々言っていました。

― 私たちもユニバーサルコミュニケーションデザインですから、今おっしゃったことが理念になっています。「わかりやすいコミュニケーションデザイン」によって伝達効率が高まり、より良い社会になると考えています。

わかりやすさの基準を具体化したのが「ヨミヤス」

― それでは、ヨミヤスに話を移したいと思います。今までプリンター製品をメインに展開されてきて、ソフトウェアは製品周りという位置づけだったと思います。でも、今回開発したヨミヤスは、プリンター製品とは関係なく、クラウドサービスとして利用してもらう製品ですから新しい考え方ですね。

羽山:当社のプリンターで使用するアプリケーションソフトウェアは以前から開発していました。2021年4月にAS事業開発部を新設し、そこでプリンター関連ではないソフトウェアサービスの開発やマーケティングをやってみようということになったのです。小さくても何か特色のあるソフトウェアを作って、事業化を目指すことになりました。

ヨミヤス

ヨミヤス 使用中のイメージ
ヨミヤス|理想科学工業株式会社

― 今回はUCDAのわかりやすさの基準をクラウドサービスにしていただいたということで、非常に便利なツールになっていると思います。書類や文章を作っているときには、つい長くなってしまったり、型を意識しないで作ってしまったりすることがあります。それをヨミヤスにチェックしてもらうのはとてもいい。読む人の立場に立って作られていますね。

羽山:やはり相手の気持ちを考えて作らなければいけない。文章は真剣勝負ですから。

― 今までの歴史にない全く新しいジャンルへのチャレンジだと思います。

羽山:これまでにないサービスですから、使った人がこれはと納得してくださるような、そんな商品に育ってくれるといいなと思っています。

― そうですね。開発のコンセプトどおり、今までにないものになったと思います。これを使って文章がわかりやすくなり、世の中のコミュニケーションがよくなっていけばいいですね。一人でも多くの人に体験していただきたいと思います。

在間稔允

相手の立場に立って考える点で我々は共通している

羽山:この商品企画があるまで、私はUCDAをあまり知らなかったのですが、わかりやすさの基準を作って文章プレゼンテーションを変えようとしている団体があることを知って驚きました。そのアプリケーションを作るのか、それは面白いねと、何かそんな感じでしたね。

― そうですね。例えば、ある自治体の後期高齢者向けの健康診断のお知らせは、わかりにくいので受診率があがりませんでした。それでご相談を受けたわけですが、まだヨミヤスはなかったので、我々の手作業で文字を数えて評価をしていました。結果、わかりやすく改善されました。

羽山:(改善前と改善後のお知らせを手に取って)すごいですね。全然違います。

― 内容は全く同じなのですが、わかりにくいところをチェックしてそれを直すとこうなるということです。受診率は30%上がったそうです。

羽山:文章を作った本人は、自分ではけっこう伝わっていると思ってしまいますよね。UCDAの基準は、ある意味、相手のことを思いやったらこうじゃないかという問いかけだと思います。それを当社がクラウドサービスにしました。お客さまに喜んでいただけるより良い商品に今後も改善していきたいと思います。

― UCDAとしても、わかりやすくするための基準がこうしたクラウドサービスになったことが素晴らしいと思っています。情報量も測定できるし、文字も色もチェックできる。精度も上がっています。最近は、金融機関や食品メーカーからの問い合わせも増えています。

羽山:アカウンタビリティー、説明責任が求められるようになってきていて、それが企業においても公共機関においても重要なファクターになっています。でも、必要なことは全部書いておけばいいだろうということで、情報量が多くなって読まれないこともあります。ですから、わかりやすくお客さまに伝えることのできる「ヨミヤス」にニーズがあるのだと思います。

― 来年は障害者差別解消法が改訂されます。ヨミヤスがそれと直接関係するわけではありませんが、相手の立場に立って考えるという意味では共通していると思います。相手のことをもっと考えようという方向に、時代は進むのではないでしょうか。

羽山:そうなってほしいですね。

UCDAにはもっともっと注目される団体になってほしい

― これからは、「わかりやすさ」がキーワードになってくるような気がします。来年の合言葉は「わかりやすさ」でどうですか(笑)。
最後にUCDAに対して何かご要望などがあればお願いします。

羽山:先ほど申し上げたように、この企画のことを初めて聞いたときに、このようなことを考える団体があることに驚きました。でも考えてみれば、相手にとってのわかりやすさというのはとても大事です。時代の流れにあった意味のある活動をされていると思っています。今後はもっともっと注目される団体になっていただきたいですね。

― 私たちも精進していきます。今日は本当にいいお話を聞かせていただきました。今後ともよろしくお願いいたします。