「第三者」による客観的な評価

22:丹野美絵子-2

●共通化・汎用化は究極の効率化につながる

写真福田:と ころで、例えば請求書などの帳票は、各社によってフォーマットが違います。しかし、記載する事項は、売上ナンバー、売上日、品名、数量、金額など共通の内 容のものが多いですね。便せんと同じように、共通のフォーマットに標準化してもいいと思うのですが。宅配便の送り状にしてもそうです。宅配便の会社によっ てそれぞれに伝票が指定されています。そのため、不便を感じることがあります。送り状など内容は同じですから標準化してもいいのではないかと思います。違 うということが企業の特徴、個性であり、差別化だというのでしょうか。優先すべきは、差別化なのか、消費者の使いやすさなのか、コストなのか。いつも疑問 に思っています。
丹野:業界で汎用の帳票を作ればいいのですよね。本来、競争領域じゃないところで競争して、結果としてコ ストにはね返る。企業の合併にしても、いちばんお金がかかるのは、文書や仕組み、システムの統合だといいます。何年たっても両方のシステムをそのまま使っ ていたりして、実に無駄だと思います。もともと汎用性のあるものを作っていればいいことですね。
福田:そうした状況を改善し、統合しようという動きが、損保業界では出てきました。日本損害保険協会(以 下、損保協会)で、募集文書や重要事項説明書書類などの共通化・標準化を進めるプロジェクトを立ち上げたのですね。このプロジェクトで、我々も丹野さんと ご一緒させていただいたわけですが。

写真丹野:損 保協会の活動でUCDAさんと一緒に仕事をさせていただき、私は目からウロコでした。これまで、企業や業界から文書について意見を求められたとき、中身に ついて、「ここがわかりにくいですよ」とか、「これだと誤解されますから、こう直してください」と伝えても、先方からは「主観評価に過ぎない。10人いた ら10人の主観評価があるので」と言われてしまっていたのです。ところが、UCDAさんは、「20分間に何文字しか読めません」「A4 の紙に何%以上の 情報量があると読みませんよ」「30枚では多いから8枚にしましょう」といった具合に、読み手のわかりやすさを数値化・データ化し、客観的な評価基準で指 摘をされます。企業サイドもこの客観性に対しては納得せざるを得ないのを目の当たりにして、デザインの力と評価尺度の力を強く感じました。

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