「第三者」による客観的な評価

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02-1:UCDAフォント開発の背景-3

02-1:UCDAフォント開発の背景

可読性と判読性を高次元で
バランスさせ、「いじめに強い文字」を

写真矢口:ま ず、開発にあたって私がやったことは、保険帳票を集めて、どの文字が多く使われているか数え上げることでした。いちばん多かったのは「保険」。当たり前か (笑)。次に、文字を「劣化させる」試みをしました。研究室では、携帯電話でも読めるウイグル文字を想定して、小さい文字をわざと太くしたりかすれさせた りして、読む時間を計測するなどしていました。文字がつぶれたりぼけたり、かすれたりという老眼で見る状態を再現し、それでもその文字として認識できるこ とが見やすい文字の評価指標になる。
八杉:目が劣化した状態を再現するという発想がおもしろいと思いました。いわば先生は文字をいじめていた わけだけど、「いじめに強い文字」というコンセプトは早い段階からあったんです。パリダカで優勝した車がタフな車だというのと同じ理論で、劣化した状態で 読める=読みやすさなのでは、と。
矢口:それから、可読性(文字列としての読みやすさ)と判読性(類似字形との見分けやすさ)が両立すること。道路標識に使われる文字はわかりやすいけれど、その書体で文章を組まれたら読みにくいですよね。
写真八杉:こ れまでのUDフォントは、どちらかというと判読性を高めるために、めいっぱい字面を大きくしているので、長文に組むとお互いがぶつかって読みづらくなる傾 向がありました。UCDAフォントは、一文字一文字の見分けやすさは保ちつつ、小さな文字で長文の横組みにしても読みやすいという、困難な設計を目指した のです。
矢口:読みやすさについては、これまでのUDフォントでは主観的な評価がほとんどでした。もちろんそれは 大事ですけれど、条件しだいで変わってくる。もっと安定した客観的な評価方法が必要だと考えました。まず、物理的評価としてIPOテストがあります。文字 画像を処理して、かすれたりつぶれたりしている状態を作り出して、どこまで原型を保つことができるかを数値で評価するソフトウェアを開発。特許出願もして います。開発にあたっては、運転試験場で講習を受けるはめになった知人の話をヒントに、被験者に数列の中からある文字を抽出してもらう客観的な評価実験も 実施しました。さらに、被験者に見やすさを主観的に判断してもらうテストも加え、開発にあたっては多角的な評価実験を重ねました。
竹下:デザインする人間としては、数値的な指標を作っていただき、目標に向けて文字を作ることができたのは大きかったですね。

・・・次回につづく
02-2:開発のプロセスと基準づくり

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