プロフィール
重田 恭宏(しげた やすひろ)

1987年3月 東京大学 法学部卒業。
1998年10月 損害保険ジャパン日本興亜株式会社の前身、安田火災海上保険株式会社入社。2005年7月より損保ジャパン日本興亜アセットマネジメント株式会社所属。
2010年3月 早稲田大学大学院 ファイナンス研究科修了。
ニューヨーク駐在員事務所長、執行役員 営業第一部長を経て、現在は常務執行役員 クライアントサービス第一部長。「UCDAアワード2018」受賞(投資信託分野)の際に登壇、受賞スピーチを行っていただいた。

高齢社会、低金利時代における資産運用会社の役割は大きい

― 少子高齢社会、金利も上がらない時代の「投資信託の役割」についてお話しいただきたいと思います。

高齢社会、いわゆる人生百年時代においては、個人の皆様がそれぞれ資産運用をして、年金収入を補い生活を支える必要があります。
資産運用会社としては、多様なライフスタイルに適った投資商品を提供し、それぞれの狙いや特徴をしっかりと説明していくことが大事だと思います。
特徴やリスクを理解した上で投資していただくことが重要です。

― 現在、個人の金融保有資産約1,800兆円の半分以上が預貯金だと言われています。
このような状況には、日本独特の文化や考え方があると思いますが。

日本人はリスクに非常に敏感で、元本が割れることに対する拒否感が強いと言われています。
ですから、どのようなポートフォリオを組めば比較的安定したリターンが見込めてリスクを抑えられるかを理解し、投資に踏み込んでいただきたい。
現在は「つみたてNISA」や「iDeCo」などを通じて、一般の方が投資に徐々に慣れてきている状況だと思います。特に若い世代は老後の生活を考えた時、着実に積み立てていく「積み立て型投資」が有効だと考える方が増えてきているようです。

金融商品を「理解していただくこと」が重要

― 投資信託のような金融商品について、販売する側、購入する側が気をつけなければいけないのはどのようなことですか。

販売する側は、どのような資産に投資しているのか、株式、債券にはどのような特徴、リスクがあるのかをしっかり説明することです。
一方、購入する側のお客さまはそれを理解いただき、納得のうえで投資していただくことが必要でしょう。
短期間でリターンを求めるのではなく、10年20年かけて積み上げながら、しっかりリターンを追求する。
そのような長いスパンが必要だということを、販売する側も購入する側も、共通認識として持つことが重要です。

投資信託業界でも、積み立て投資や分散投資の有効性をお伝えし、啓発する活動をしています。
弊社では投資初心者の方に資産運用の第一歩を踏み出していただくため、イラストやグラフで視覚的に内容を伝え、文字の大きさなど工夫して理解しやすい資料を作ることを目指しています。

― お金を銀行に持っていけば少なからず増えるという時代があって、長い間、日本人はそのことに慣れてしまったということがあるのでしょうか。

それはあると思います。それに、日本の株式市場は1989年にピークを打ったあと、20年ほど下落基調が続いてしまったので、株式投資というものの有効性を確信できない。
そのために、なかなかリスクを取ることに踏み込めないのだと思います。

「お客さま第一宣言」への取り組みとUCDAアワード受賞

販売用資料(UCDA アワード2018 受賞)

― UCDAアワードの実行委員会では、御社の販売用資料について活発な議論が交わされました。
「今までの販売用資料の概念を変えるものだ」と高く評価する声がある一方、金融商品の複雑さを知る委員からは「こんなにシンプルでいいのか」という声もありました。

弊社では「お客さま第一宣言」を掲げ、「日本一お客さまのことを考える資産運用会社」を目指しています。ですから、高い評価をいただけたのは本当に嬉しく、感謝しております。

この資料は通常の倍以上に時間をかけて内容を検討し、資産運用を「他人ごと」ではなく「自分ごと」で考えてもらうストーリー仕立てとなりました。
どのような運用をする必要があって、どのようなリターンが見込めるのか、一方ではどのようなリスクがあるのか、読みやすくわかりやすいよう工夫しました。

― 私も、ページをめくるごとに自分の知識が増えていくような印象を受けました。

弊社の営業マンが証券会社や銀行の方とお話ししたときのやりとりや、投資家へのセミナーに基づくフィードバックをベースにしています。
昨今では、情報量が多いと読んでいただけなくなってしまいます。
そこで2年ほど前から、販売用資料を見やすくするプロジェクトを立ち上げ、既存のもの・新規のものを問わず情報をつめこませず、わかりやすくなるよう心がけてきました。

― 取り組みの成果はいかがですか。

投資残高ということでは、まだそれほど積み上がっていないのですが、設定して1年を超えて、徐々に想定に近いリターンが出てきています。ですので今後着々と投資残高も積み上がってくると思いますし、投資家の方が期待されるリターンに近いものをご提供できるのではないかと考えています。

― アワードを取ったことで社内の反響はいかがですか。

弊社の掲げる「お客さま第一宣言」は、お客さまを最重視する業務運営をしています。
それが凝縮された形で資料ができ上がり、UCDAアワードでは第三者からの高評価を受けることができ、関係者みんな喜んでいます。
いただいた評価レポートも今後に生かしていきたいと思っています。

「わかりやすさ」こそ「顧客本位の取組み」です

― 金融庁が「顧客本位の業務運営」と言ってから3年近くが経ちますが、影響はいかがですか。他社の担当者の中には、UCDを推進したいが会社としてなかなか踏み込めないというジレンマを抱えていらっしゃる方も多いようです。

投資信託業界ではかなり徹底されてきました。
しかし金融商品取引法では十分な情報提供をしなければいけないという縛りがありますから、「情報をたくさん盛り込まなくては」というバイアスがかかります。必要以上に入れてしまうことで苦労されているのだろうと思います。

― 御社ではグループ全体で、わかりやすさの基準として私どもの認証制度を活用されています。

「お客さま第一」の精神は、多様なお客さまに支えられているSOMPOホールディングス全体で徹底されています。
弊社の場合はUCDを導入して資料の見直しを進め、交付目論見書はすべてUCDA認証を取得しています。
社内に「お客さま第一委員会」も設置し、お客さま視点の意見・助言を業務に活用しています。

大きくなっているUCDAの社会的責任

― UCDAに期待すること、ご意見やご要望はございますか。

UCDAは、わかりやすく伝わりやすい資料を、思いやりをもって作成していくことを推進されていますね。
非常に重要な役割を果たしていらっしゃると思います。我々もその精神に沿って活動し、わかりやすい資料として結実してきています。
ぜひ引き続き活発な活動をお願いしたいと思います。

― UCDAは設立から10年余りが経ちますが、ここ数年、社会的な責任が非常に重くなってきていると感じています。

UCDAの評価は非常に徹底していて、いろいろな側面から、わかりやすさ・伝わりやすさを精査なさっています。私たち企業に求められるレベルも非常に高いのでやりがいがあります。
それから、専門家と連携したソリューションの提供も、非常に重要で付加価値があるところだと思います。

― これからの10年に向けても、ご期待に応えられる活動を目指していきます。本日はどうもありがとうございました。