プロジェクトUCD 〜フェスティナレンテ〜

「フェスティナレンテ」とは、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの座右の銘で「悠々として急げ」を意味します。
このコーナーでは、日々情報コミュニケーションの課題に悠々と取り組みつつ、UCDを導入し、スピーディーに結果を出している企業・行政・団体を取材します。
「わかりやすさ」への取り組み(プロジェクトUCD)における苦労や、今後のビジョンについてお話しいただきます。
プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー
左:執行役員 教育・介護福祉事業部 事業部長 小池徳彦 右:制作部 カタログ制作課 里田 豊康


プラスさんについてお聞かせ下さい。


小池:
プラスは、文房具やオフィス家具のイメージが強いかもしれませんが、事業体がどんどん大きくなり、プラスグループの事業内容が、お客様にきちんと伝わっているのか、危機感を持っていました。会社のことも、商品やサービスのことも「わかりやすく」伝えたい。「わかりやすさ」を企業文化として大事にしていきたいという思いがありました。私たちが手がける学校や介護・福祉施設向けのカタログデリバリーサービスも、よりわかりやすくお伝えしなければと考えていました。そんな時、UCDAの話を聞きました。「わかりやすさ」に基準があるということに最初はびっくりしました。

里田:プラスには、他社がまだやっていない新しいことにチャレンジする、という社風があります。

小池:「新しい価値で、新しい満足を。」というのがプラスグループの理念です。例えば、文房具の開発にしても、まず言われるのは「これは世界初か」、一歩譲って「日本初なのか」と。そういう観点で経営者は話をするので、私たちは柔軟に新しい発想をするようにしています。UCDの取り組みについても、このようなスタートでした。

―UCDについて最初に取り組んだのは、どのようなことでしたか。

小池:カタログのどの部分を調べたらいいのか、活用ブックなのか、オーダーシートなのか。UCDAと議論をした結果、最初に取り上げるのは活用ブックじゃないかということになりました。お客様は、欲しいものを探したり、納期の確認をしたり、電話をかけたりする訳ですが、その時、どうすれば、お客様の時間やストレスが削減できるのかが課題でした。

そこで、お客様がカタログを使う時の問題点を探したのですね。

小池:UCDAに行動分析のプログラムを立てていただいて、新人職員の方と、ベテランの方4人で行いました。ひとりひとり商品を探して購買する行動を細かく観察して、分析していただきました。あれは、とても勉強になりました。結果、たくさんのパターンが出てきました。同じタスクをかけても、お客様の知識や経験の差からこういう結果になることがわかりました。

里田:初めは、どういう結果になるのか心配でもあり楽しみでもありました。お客様から直接CRMにお声をいただいたものは、継続的に改善のメニューに加えていましたが、それとは違った視点での指摘というのは非常に新鮮でした。

行動分析は、意外な結果が出るので、その都度非常に勉強になります。帳票一枚の分析もありますし、システムが絡むような複雑なものや冊子物などの分析も行います。

小池:情報量を計測するドット・レシオ・カウンターも、お客さまがどのように見ているのか、そしてそのデザインがどのようになっているのかを分析するアイ・トラッキング・アナリストもとても参考になりました。

里田:情報量については、感覚的にはわかっていましたが、基準があって、これ以上はダメと数字で示されると、改善のきっかけになりますし、目標がハッキリしますね。色々な事情があって情報がどんどん増えて、ここは「もっと大きく」とか、ここは「もっと赤く」とその場その場でデザインしてしまうと、全体の整合性が取れなくなってしまうことがよくありました。それをUCDAに第三者機関として客観的な評価をしていただいて、正しい形に補正することができました。

行動分析まですると、作る側にも自信が出ますよね。「こういうところに気を付ければ大丈夫だ」というところがハッキリします。これも、御社には、新しいものに取り組む文化があったからこそですね。

小池:私たちの理念「新しい価値で、新しい満足を。」が社内のいろいろなところに貼ってあったり、社員の机の上に置いてあったりします。普段から目に入るところに掲示してどんどん挑戦していこうと。今では、競争相手は同じ業界だけではないですし、違う業界が、本当のライバルにもなる時代ですから。タクシー会社もUberみたいなのが出てくるとは誰も思ってなかった訳です。ずっとライバルは同業の企業だと思っていたらいきなりとんでもない企業やサービスが出てきます。業界にとらわれず、視野を広げて活動していく必要があります。

DC9ヒューリスティック評価と、行動分析から始まって、最初に「見やすいデザイン」の認証を取って、次の年に「伝わるデザイン」を取得されました。同じ対象物で「見やすいデザイン」から「伝わるデザイン」に進化した例はそんなに無いんです。

小池:やり方がイレギュラーでしたね。はじめにDC9評価をしているので、「見やすいデザイン」は比較的容易に取れました。次の年の「伝わるデザイン」の改善の時には、DC9のレポートがいきてきました。アワードの基調講演で錦野先生が「わかりやすさに終わりはない」と言っておられましたけどそのとおりですね。法規制がある厳しい業界では、法律やルールによって変更しなくてはいけないことが常に起こるでしょうね。我々も、あらゆる変化に対応していかなくてはいけないし、そのリーダーでありたいと思っています。

里田:認証を取ることが目的ではないのですが、DC9評価の結果を反映させて「わかりやすく、使いやすく」改善して、「伝わるデザイン」の認証を申請するのは自然な流れでした。ここでは、文章についてかなり厳しい指摘をいただきました。

今回の評価、改善、認証取得によって、社内の皆さまの変化はありましたか?

小池:「わかりやすく」することについて、社員の心に火が付いたところが一番の効果だったと思います。モチベーションが上がっただけではなくて、スキルも身に付いたことですね。今回評価を受けた対象物を担当している人間が他のものも担当しています。スマートスクールの企画担当者が季節的なイベントや防災についてのシーズンチラシもデザインします。そのデザインに、「見やすさ」や「伝わりやすさ」が染みこんできました。これは、毎日もの凄い量のお荷物をお届けしている中にいれてお送りしているものです。

プラスさんの中にUCDの基準みたいなものがだんだんできてきたんですね。

小池:ただ、実際にカタログを使う事務の方にとって便利で使いやすくなったかどうかの検証は必要だと思います。日々、相当量の電話がコールセンターに入っています。それは全部我々の方に、多少キュレーションをかけながら、アップされてくるので、それには丁寧に対応しています。昔からプラスはそれを大事にしています。赤坂の12階にコールセンターがあります。コールセンターは自前です。お客様の声をすぐに反映するのが理念なので、本社の真ん中にあってもいいくらいなんです。月に一回お客様の声を聞く会があります。お客様の生の声を聞きながら、これはこうしようとか事業のカテゴリー別にその場で解決策を決めていきます。あることを間違えてしまったお客様が何人かいると、すぐ改善します。カタログですと次のカタログになるのですが、Webやフライヤだとすぐ直します。すると目に見えて減るんです。それで次の月に、この件数がこのくらいになりましたと「見える化」できるように、全体の運営がそういう仕組みになっています。企業の姿勢というか理念が無いとできないですね。お客様の声を大事にしていく姿勢がアスクルを立ち上げた頃からあるので、お客様の声で会社も人も進化させていただいています。お客様の声を聞いて改善するのは対処療法ですが、UCDAの仕組みは元々「わかりやすさ」のノウハウがあって、プロの視点でのアドバイスで、未然に防ぐという、唯一の方法ではないかと感じます。

スマートスクールやスマート介護のカタログを利用されている方は学校や事業所の中にいらっしゃる方、またはそういう施設で働いている方ですね。

小池:基本的にはB to Bのビジネスなので、学校では教職員の方々、施設では、介護職の方や事務の方、施設長の方にもお使いいただいています。お忙しい方々なので、我々もしっかりとサポートしています。スマートスクールは日本の学校現場のナンバーワンサポーターになりたいというのが理念なんです。スマート介護は笑顔の介護のお手伝い、と決めています。笑顔の介護というのは介護職の方を指しているんです。その方をお手伝いすることが事業の理念なので、ここに沿ったものであることが重要です。UCDはその考えに合致しています。

人生の何分の一かはものを探している時間だとかいいますが、探す時間って馬鹿にならないなと思いました。ぱっと見つけられるとストレスがなくて、お客様との信頼関係にも繋がると思います。

小池:活用ブックはバイブルみたいなものですが、商品を探すのにいきなり活用ブックを見るお客様はあまりいらっしゃいません。商品を見つけて、これはいつ、どうやって頼んだらいいのだろうと活用ブックを見るんですね。商品の探しやすさというのはまたもう一つの課題です。

里田:カタログ全体の構造を含めての話ですね。

小池:お店に行った時に、どこにどんな商品が置いてあるのかわからないのと同じですね。

里田:カタログ全体の話になると、深いですね。

小池:しかし、我々は常にチャレンジャーですので、日々お客様のために進化していきたいと思っています。

里田:保険や金融を含めてどの業界も同じで、お客様を中心に全体の最適化がキーワードになってきます。

最後にUCDAについて苦言でも結構ですので、何か言っていただけると助かります。

小池:本当にありがたいと思っています。第三者の視点で色々とアドバイスしていただきました。我々が持っていない物差しを提供していただいて、それがお客様の利便性に繋がっているということは確信できます。UCDAとの出会いは本当に良い出会いでした。また、アドバイスいただいて、作戦を練っていきたいと思います。

里田:活用ブックにしても、これで完成で改善が終わりというものでは無く、書かれる内容は常に変化し続けていくものなので、今後ともよろしくお願いします。

―UCDAは、企業がお客様のために「わかりやすく」する努力していることを知っていただけるよう努めています。保険会社の通知物、プラスさんのカタログ、食品パッケージ、CSR報告書など。どれにも「認証マークが付いている」と知っていただけるようにしていきたいと思います。

小池:是非お願いします。次はオーダーシートも「わかりやすく、記入しやすく」改善していきたいと思っています。

里田:これからも第三者の立場で、評価と的確なアドバイスをよろしくお願いします。ありがとうございます。頑張ります。

スマート介護カタログと認証を取得した活用BOOK