「フェスティナレンテ」とは、ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの座右の銘で「悠々として急げ」を意味します。
 このコーナーでは、日々情報コミュニケーションの課題に悠々と取り組みつつ、UCDを導入し、スピーディーに結果を出している企業・行政・団体を取材します。「わかりやすさ」への取り組み(プロジェクトUCD)における苦労や、現在の活動、今後のビジョンについてお話しいただきます。
営業推進部 販売推進グループ 課長 大坪拓朗 氏(写真中央) 営業推進部 販売推進グループ  阪本悠 氏(写真左)

阪本悠 氏(左)、大坪拓朗 氏(中央)、UCDA理事長 在間稔允(右)

インタビュー  コンプライアンス統括部 コンプライアンスグループ 課長 村本行隆 氏
 営業推進部 販売推進グループ 課長 大坪拓朗 氏
 営業推進部 販売推進グループ  阪本悠 氏
 

UCDAアワード2017では、全社的にUCDの推進に取り組む姿勢が高い評価を受け、実行委員会特別表彰を受賞されました。
UCDを推進するきっかけになったのは、どのようなことだったのでしょうか。

村本

村本氏

村本氏

 金融業界では、各社が相次いで「顧客本位の業務運営に関する宣言」を行なうなど、業界全体としてお客さま本位の業務の更なる追求に向けた機運が高まっています。当社でも2017年度から「お客さま第一の業務運営」推進委員会を設置し、その中に全社横断的な「わかりやすさ向上ワーキング」を立ち上げました。
 当社の商品は、一時払の年金保険・終身保険を中心に、主に金融機関代理店で販売しています。お客さまには、商品の内容はもちろんのこと、費用やリスクについても「わかりやすく」説明して、しっかりとご理解・ご納得のうえでご加入いただかなくてはなりません。
 また、最近の販売傾向を見ると、為替リスク等のある外貨建ての商品が中心となってきていますので、従来以上に「わかりやすさ」を求めていく必要が出てきました。

金融庁が発表した「顧客本位の業務運営に関する原則」の中でも、重要な情報をわかりやすく伝えることの重要性が明記されていますが、どのように取り組まれたのでしょうか。

村本

 募集資料やお客さま向け通知物の「わかりやすさ」を向上させる取り組みは、以前から各作成部署で行われていました。お客さまの声や、代理店からの要望をもとに、それぞれの部署が改善に取り組んでいたのですが、部署ごとの取り組みになっていて、全社で共有するところまではできていませんでした。
 わかりやすさ向上ワーキングには、募集資料を作成する営業推進部、その審査を行なうコンプライアンス統括部をはじめ、お客さまへのご契約の状況などの通知物を作成しているお客さまサービス部や、変額保険の運用状況などのレポートを作成しているアセットマネジメント部も参加しています。各部署が横断的に集まって、もう一度広い観点から「わかりやすさ」の向上に取り組むことになったのです。
 ワーキングでは、従来から収集していたお客さまの声をはじめ、消費者、代理店、社内などから更に幅広く意見や要望を集めて活動を進めることになりました。そこで、第三者機関であるUCDAに相談し、「わかりやすさ」の基準やノウハウを取り入れて進めていこうと思ったのです。

大坪

大坪氏

大坪氏

 消費者モニター制度や、当社の営業担当者の意見も定期的に収集していましたが、第三者機関から意見をもらうのは、初めてのことでした。

現行の商品パンフレットに対して、実際に商品を販売している金融機関からは、どのような意見がありますか。

大坪

 「お客さまからここがわかりにくいと言われるので次の改訂の時に直してほしい」、逆に「ここはもっとアピールして欲しい」などさまざまな要望があります。当社では、それらを改訂の際に反映させます。今回は、さらにUCDAの意見も踏まえて取り組みました。

 

そのような取り組みの一環で、「プレミアプレゼント」の商品パンフレットがUCDA認証「伝わるデザイン」を取得されました。認証取得に至った経緯をお聞かせください。

大坪

伝わるデザインを取得したパンフレット

「伝わるデザイン」を取得したパンフレット

 当初は、認証、認定資格の取得、DC9ヒューリスティック評価の3つをどこまでやればいいのかと社内で議論がありました。改善効果がどのくらいあるのか、実際の作業はどの程度かなどが見えていなかったのです。
 また、当初は「見やすいデザイン 」の認証取得も考えましたが、せっかく取り組むのなら難易度の高い「伝わるデザイン 」の認証を取得しようという動きに変わりました。金融機関代理店で販売している生命保険商品のパンフレットで「伝わるデザイン」を取得した会社がなかったこともあり、挑戦してみようということになりました。

金融機関窓販用の生命保険商品パンフレットでのUCDA認証「伝わるデザイン」の取得は、保険業界で初めてとなりました。認証取得にあたって、苦労されたことはありましたか。

阪本

阪本氏

阪本氏

 今までは、金融商品をある程度理解している方や、1度はパンフレットを読んだことのある方からの指摘がほとんどでした。社外からのまっさらな意見をいただいたのは、初めてのことでしたので、とても新鮮に感じました。例えば、シンプルな仕組み図の表し方、色彩や情報量に関する指摘などです。私たちはつい「こう書いてあって当たり前」「これが一番わかりやすい」と思いがちなので、指摘に対してどのように解決していくかを考えるのが一番大変でした。

大坪

 色彩については、今まであまり考えたことがありませんでしたね。

村本

 色がたくさん使われすぎていたり、同系色のものが重なって見えにくかったり、改めて指摘をいただいて、「なるほど」と思いました。

 

周囲の方を先導するのも大変だったのではないでしょうか。

阪本

 指摘内容を修正することで、どのようにわかりやすくなったのかを資料にまとめ、社内で共有しました。「客観的な目線で、こういった意見があるから、こう改善しよう」と、皆で認識を合わせながら進めていきました。

村本

 各部署の取り組みだけでなく、社長をはじめ経営層の強い支持・支援があったことも大きかったです。

大坪

 第一フロンティア生命ならではのスピード感、意思決定の早さが、短期間での認証取得に繋がったと思います。

 

意思決定が早いというのは、とても素晴らしい企業文化だと思います。
改善されたパンフレットに対する反応はいかがですか。

大坪

 新しいパンフレットは4月に切り替えるため、社外の反響はこれからなのですが、社内ではわかりやすくなったパンフレットを見て、経営層をはじめ、取り組みに参画したメンバーは「認証取得して本当によかった」と喜んでいます。

村本

 審査部署のコンプライアンス統括部から見ても、明らかにわかりやすくなっていると思います。

大坪

 社内では、普段の何気ない会話でも「UCDA」が話題にあがるようになりました。

阪本

 始める前は「大変な指摘が入ったらどう対応したらよいのか」といったネガティブな意見もありました。ですが、実際に改善してみると「確かに」と思うところが多々あって、他の商品にもノウハウを反映しようということになりました。

昨年、17名の社員の方がUCDA認定2級を取得されています。2級を取得された方がその後、社内で取り組んでいらっしゃることはありますか。

村本

 認定資格については、ノウハウを他の人たちにどんどん広めてもらいたいという思いもあり、特定の部署だけでなく社内の幅広い部署の社員が取得しました。

阪本

 先日は、認定資格や認証の取得で学んだことを社内で共有するために、勉強会を開きました。若手から経営層まで幅広く参加してもらいました。

村本

 今回の取り組みに直接関わっていない部署の人たちも多く参加してくれました。社内向けの資料であってもUCDの考え方は応用できると思います。

阪本

 敬語を使いすぎると文章が長くなり、逆に読みにくくなる点も、他の資料でも取り入れるようにしています。例えば「~いただく」を使いすぎないなど、お客さまの失礼にならない範囲でわかりやすく伝えられるよう、普段から意識するようになりました。

今後のお客さまサービスについてお聞かせください。

大坪

 今回得たノウハウは、他の商品パンフレットなどにも反映させたいと考えています。

 また、お客さまの中には運用経験が少ないことなどから、パンフレットなどの書面だけでは商品内容やリスクがなかなか伝わりにくいこともあります。そういった方たちに向けて、アニメーションを使った動画をホームページで公開するなど、積極的に取り組んでいきます。

村本

 金融庁が、昨年11月に公表した金融行政方針の中に「フィナンシャル・ジェロントロジー」(金融老年学)について記載されていましたが、社内でも高齢層のお客さまへの更なる理解向上に向けた対応が課題になっています。医学的にも加齢に伴い認知機能は低下していくと言われていますので、当社としても、高齢者の方への情報伝達のあり方について、更に研究していきたいと思っています。今後も情報提供、アドバイスをいただけるとありがたいです。

今、お伺いした動画や高齢者の方への「わかりやすい」情報伝達については、今後も研究を進めて参ります。研究結果は、皆さまの改善活動に役立てていただけるよう、計画をしております。これからも皆さまに向けた、最新の情報提供を続けていきます。本日は、貴重なお話をありがとうございました。