KDDI株式会社
永長 秀隆 氏
堀江 明央 氏
グループリーダー 鈴木 将司 氏
お客さまへの説明は丁寧かつ短時間でできなければいけない
― この度は「見やすいデザイン」の認証取得おめでとうございます。国内の携帯電話事業者として初めての認証取得ですが「業界の抱える課題」とは、どのようなことでしょうか。
ありがとうございます。au販売店では、ご高齢の方からお子さままでいろいろなお客さまがご契約にいらっしゃいます。またよく通話をする方としない方、ご家族で加入される方、このような多様な方々に、お得に使っていただくためには、お客さまに応じたオプションやサービスを組み合わせる必要があります。その場合はお客さまにきちんとご納得していただかなければならないのですが、説明が長くなるとお客さまにご負担をお掛けしてしまいます。そこで、丁寧でかつ短時間の説明でご理解、ご納得していただくことが課題だと思っています。
― 携帯ショップの店員さんが文字の詰まったカタログを見つつマーカーを引いて説明するシーンをたくさん見ました。利用者としては丁寧に説明されているのに内容がわかりにくい、ということがたびたびありました。そういった手間を考慮して、今回帳票を見やすく、わかりやすくするためにUCDAの認証取得をされたわけですね。UCDAのことを知ったきっかけは何でしょうか?
貴協会のことはインターネット検索や、外部の方からのご紹介で知りました。
個々のお客さまに合った組み合わせがわかる
― 今回認証を取得された帳票はどういうものでしょうか。
毎月の料金の推移が確認できるのが特長です。「1年後はこのように推移する」ということをこの帳票には表記しています。例えば分割で買っていただいた携帯電話の支払いが終わった後はどうなるかなど、細かく推移を見られる帳票になっています。
この帳票には、主に3パターンあります。
①ご契約前、料金・サービスをお見積りする際に使用する帳票。
②ご契約後、契約内容を説明する際に使用する帳票。
③ご契約中、お客さまに現在の契約内容をご案内する際に使用する帳票。
これらの帳票を使って、大幅な時間短縮につなげています。
― 今まで色々マニュアルやカタログなどを参照しながらご案内していたものが一元化されたわけですね。
そうです。本当に自分に合ったオプション、サービスを組み合わせで作ることができるのが大きな特長です。カタログだと、「このプランならこれ」という単純なものはわかりますが、補償サービスに加入するとどうなるかなど、自分なりの組み合わせをしていくとき、それを理解していただきやすくするためにお出しするのが本帳票です。
改善を進めるには第三者の目が必要だ
― 今回、認証を取得しようと考えたきっかけを教えてください。
この帳票自体はおよそ3年前から利用を開始していまして、それまでは弊社独自でより見やすく、わかりやすいものにしようと改善してきました。お客さまやau販売店の声を参考にしてはいましたが、あくまで社内での改善だったため、第三者の方の評価が必要だと考えました。当初参考にさせていただいたのは保険業界の帳票でした。保険の見積もりは特約などで金額変動するケースが多くあるからです。そこで、保険業界とのお付き合いも多い貴協会に第三者評価をしていただくのがよいのではと考えました。
現場やお客さまの混乱を招かないように改善
― 帳票を改善するにあたって工夫したところ、大変だったところを教えてください。
実は申請前にも認証取得に向けて改善を行っていて、自信を持って申請しました。それに対して、貴協会から「こういう点が基準を満たさない」とご指摘いただきました。それは1行あたりの文字数だったり、文字のコントラストだったりというものです。想定していなかった点でしたが、いただいた指摘内容によってより改善できたと考えています。
先ほど申し上げましたように、この帳票は3年前(2017年)から使用しています。ベースとなる内容を変えてしまうと、au販売店スタッフも説明しにくいし、ご来店いただいたお客さまも混乱してしまう。そこで、今までのレイアウトを大枠では引き継ぎつつ改善した結果が、今回の認証取得だったわけです。
― 現場やお客さまの混乱を招かないように改善するのは大変だったでしょうね。
そうですね。貴協会のホームページに載っていた、文字の大きさなどの基準を参考にさせていただきました。それで文字のバランスはよくなったと思います。特に印象的だったのは「みんなの文字」によって数字の「4」が見やすくなったことです。
― ありがとうございます。「みんなの文字」は小さく表示されたときの視認性、数字の判読性に優れているので、料金を示すような場合に使っていただけると効果的だと思います。
実は貴協会に訪問した際、本帳票のサンプルを何点かお持ちしました。そこで、こういう色の組み合わせなら読みやすいとか、濃いグラフにするなら文字は白抜きにしたほうがいいとか、具体的なアドバイスをいただき、その内容を取り入れました。
今後は「伝わるデザイン」の認証取得を目指したい
― 今後の「わかりやすさ」への取組目標についてお聞かせください。
弊社は、全てのお客さまに合ったサービスをご提供すべく、日々尽力しています。新たなサービスを提供させていただくと、お客さまにとってのわかりやすさの提供がまた課題になる。そこで、見やすさとわかりやすさを意識した帳票の提供を目指しています。また、弊社だけの基準でやってしまうと、独りよがりになりがちです。ですから、今後も貴協会の基準を参考にさせていただき、第三者の目も意識して取り組みを続けていきたいと思っています。さらに、今回「UCDAアワード2020」への参加、レベルが高い認証である「伝わるデザイン」の取得も視野に入れて取り組んでいきたいと思います。
UCDAの第三者機関としての活動に期待している
― 最後になりますが、UCDAへのご要望、ご意見などがございましたらお願いします。
今回、基準がなく弊社だけではわからなかったところをご指導いただき、見やすい帳票にすることができました。貴協会の第三者機関としての実績があってこそ、我々も今回よい改善ができたと思っています。ぜひこのような活動を、今後も継続して進めていただきたいと思います。
― ありがとうございます。この帳票は8月中旬(2020年)から導入されるとお聞きしました。今までは説明にかかる時間や、お客さまからの質問の多さなどの課題があったと思います。帳票の改善によって、業務の効率化がどれくらい進んだのか、ということもぜひ検証していただければと思います。
はい、ぜひそうしたいと思います。
― 本日はありがとうございました。