村上 敦子氏・林 春奈氏

インタビュー
(インタビュー当時・写真右から)

SBI 生命保険 株式会社
お客様サービス部 収納・保全課
課長補佐 村上 敦子氏
お客様サービス部 収納・保全課
林 春奈氏

UCDA を知ることで帳票の改善を推進できた

― この度、SBI生命様は「ご契約内容のお知らせ」で、UCDA認証「伝わるデザイン」を取得されました。また、UCDAアワード2021では、「契約者貸付請求書」が初エントリーにして特別賞を受賞されました。今回はその、「ご契約内容のお知らせ」と、「契約者貸付請求書」についてお話を伺います。
まずは、UCDA 認証「伝わるデザイン」を取得された「ご契約内容のお知らせ」について伺いたいと思います。

村上:「ご契約内容のお知らせ」は、主に給付金や、保険金のご請求漏れがないように、お客様へのご案内として、毎年一回、お送りしています。例えば、ご結婚されたら改姓の手続きをされているか、死亡保険金受取人の変更がないかといったことを、ご確認いただきたいと思っています。

認証取得物
UCDA認証「伝わるデザイン」取得
「ご契約内容のお知らせ」
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― 改善をする前の課題はどのようなことだったのですか。

村上:課題はたくさんあり、それを何とかしたいとずっと思っていました。その中でUCDA を知り、私自身勉強のためにUCDA 認定2級を取得しました。

― 私たちが最初のアワードで取り上げたのもこの「ご契約内容のお知らせ」でした。非常に重要な通知物だという認識からです。それを改善されたご苦労をお聞かせください。

村上:まずはUCD がどういうものかを、UCDA 認定2級取得の中で理解するところから始まりました。そこで知識や技術を学びましたが、それを実際にどう形にするかというところに大変苦労しました。生活者や専門家の方の視点は、私たちにはないものがあります。指摘はされたものの、本当に変えるべきなのかという声もあり、そこをどう折り合いをつけ、改善していけるのか、そこが難しかったですね。

― 「伝わるデザイン」はDC9 ヒューリスティック評価のレポートが出ます。それを見ると非常に納得感があるというお話をよく聞きます。御社ではいかがだったでしょうか。

村上:今までは白黒、モノトーンだったのですが、今回の改訂でカラーになり、大変見やすいデザインになったと高評価を得ることができました。
わかりやすくしたいという思いは常々あったのですが、なかなかきっかけがありませんでした。今回UCDA を知ることで、それを実現できたと思っています。

村上 敦子氏

科学的に証明された基準でも、お客様の反応が不安だった

― 改善される中でのご苦労など、ほかにございますか。

村上:そうですね。はじめは、科学的に証明されている基準によってデザインしたものが、実際にお客様が見たときに本当にわかりやすいものになるのかという不安がありました。

― UCD の基準はクリアしているけれど、本当にお客様はこれでいいと言ってくださるのかということですね。改善されて、社内やお客様の反応はいかがでしたか。

村上:ありがたいことに、お客様からは、大変見やすく、わかりやすくなったという声をいただきました。今まで気づかずにいたけれど、今回の新しいお知らせで、保険金や給付金の請求ができることがわかったというお声をいただき、お礼のお手紙もいただきました。

― 帳票は、担当している方があまり褒められないですね。問題があるといろいろと言われるのですが、よくできていると言われることがなかなかない。でも、そのように外部、特にお客様から言っていただくと嬉しいですね。

村上:そうですね。わざわざお伝えいただけたことが嬉しかったです。

― 今後も改善を続けていかれると思いますが、社内でも何か変化がありましたか。

村上:UCDA 認定2級を取得した者が何人もいるので、帳票の改訂をした際に、周りの仲間とUCDの視点で見ることができるようになったと感じています。それがどんどん増えていき、一人一人がそういう意識を持てることが大切かなと思います。

― そうすると大きな力になり、それが今度は会社の色にもなっていきますね。村上さんのお立場で、何かUCDA に期待されることがございましたらお願いします。

村上:もっともっとUCD を活用していきたいので、さらにご協力いただきたいと思っています。

― UCDA がもっと有名になると、お客様も認証マークに気づいてくださると思っています。例えば、食品のパッケージに付いていると日々目にします。毎年保険会社からご自宅に届くお知らせにも、市役所の通知にも付いている。そうなると、お客様にもこのマークを付けている会社は、いい会社だと思っていただけるのではないかと思います。

村上:確かにマークの認知度が上がっていただけたら大変ありがたいですね。

UCDA 認定2級の成果を試すため、帳票の改善に挑戦した

― 次に、昨年のアワードで特別賞を受賞された「契約者貸付請求書」について伺いたいと思います。これはどのように使われるものですか。

林:お客様が希望される所定の金額を貸し付けるために使う手続き書類で、対象は法人や個人の契約者様になります。

認証取得物
UCDAアワード特別賞受賞
「契約者貸付請求書」
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― アワードにこれをエントリーしようと思われたきっかけはどんなことですか。

林: UCDA 認定2級を受講した際に、その成果を試してみたい、挑戦してみたいと思いました。そこで「契約者貸付請求書」を選びました。

― これは2級を取得したあとに改善されたものですか。

林:そうです。2級取得と同時期に並行して行いました。以前は、10 年以上前に作った古い帳票を使用していました。この帳票は使用頻度もそこまで高いものではありませんが、チャレンジしてみようと思い、改善することにしました。

林 春奈氏

― 改善するにあたって、苦労されたところはありましたか。

林:以前使用していたものが古すぎたり、弊社にはほかに同種の請求書もなかったので、レイアウトから何から、本当に一から刷新しなければならなかったのが大変でした。

― やはり社内でいろいろ議論をしながら改善したのですか。

林:作成する中で生まれてくるいろんな意見を調整して期日に間に合わせるのが大変でした。アワードのエントリーは初めての試みだったので、すごくタイトなスケジュールになりましたので。

2級の取得を他部署にも広げていきたい

― 昨年の授与式には社長様もいらっしゃいました。

村上:その後、社長から直接お褒めのことばをいただき、引き続きこの取り組みを広げていきましょうというお話をいただきました。やはり会社として方向性を示してもらえると、それにのっとってどんどん改善していこうと思いますね。

― 今後のSBI 生命様の方針や取り組みなどはございますか。

村上:今年度はUCDA2級の取得を推進していく予定になっています。1級も何名か受講しますが、まずは部内の全員が2級を取得することが目標です。それから、今後は他の部署にも広げられたらという希望をもっています。

― 最近の認定講座の傾向として、コンプライアンス部の方の受講が増えています。チェックをする部署だからこそ、わかりやすくするためにはどうするかを知らなければいけないというお考えのようです。

村上:多くの社員がUCDA の資格認定を取得することによって、目指す改善の方向性を一つにしていき、日常の中でもUCD の用語を使っていけたら理想的だと思っています。

― そうすれば、打ち合わせの時間も、実際の制作時間も短縮されるのではないかと思います。

村上:そちらが今後の取り組み目標ですね。

アワード受賞でいちばん変わったのは私たちだ

― ほかに何かありますでしょうか。

村上:そうですね。受賞でいちばん変わったのは私たちだと思っております。評価していただけたことで、改善に自信を持てましたので、自然に活発な意見交換もできるようになりました。社内的にも大きなインパクトがあり、励みにもつながっております。

林:アワードは初めてであまり自信がなかったので、受賞は嬉しかったです。

― 今年のアワードにもご協力いただいていますね。

林:今年はあれをやってみよう、これをやってみようと、挑戦しているものが多いので、それがどのような評価につながるかというところは、楽しみでもあります。

村上:そこでもし評価していただけるのであれば、大変ありがたいことですし、まだ頑張りが必要だということであれば、またそれを励みにしてまいりたいと思います。

― 私たちも一生懸命頑張っていきます。ご協力できることは何でもおっしゃってください。

村上・林:これからもどうかよろしくお願いいたします。