プロフィール
森 康充(もり やすみつ)

1987年 関西大学 工学部卒業。1988年 新日本証券(現:みずほ証券)入社。
金融市場営業第3・第4部長、金融市場グループ副グループ長、執行役員 リテール・事業法人部門エリア長を経て、2019年より常務執行役員 投資信託営業本部副本部長としてアセットマネジメントOne入社。現在は、常務執行役員 投資信託営業本部長。
アセットマネジメントOneは、「UCDAアワード2018・2019」の「特別賞」「情報のわかりやすさ賞」に続いてアワードを受賞した。

投資活動は若い世代に広がっている

― UCDAアワード2020の受賞、おめでとうございます。今回はまず、資産運用の課題についてお話をうかがいたいと思います。

投資信託業界における我々の社会における存在意義を表すものとして、2021年1月にコーポレート・メッセージ「投資の力で未来をはぐくむ」を制定しました。まずそちらからお話しします。
企業理念をわかりやすく、社会にきちんと浸透するような形にしようというもので、「投資の力」というのは運用だけではなく、営業や、お客さまへの見せ方などを含めた信頼関係に裏付けられた力、「未来」は地球と社会の、お客さまと私たちの、すべての世代にとって豊かな未来、「はぐくむ」は優しさや責任感、情熱といったことをもって、しっかりやっていこうということです。

― 運用プラスαの力で真摯にお客様の未来を築いていく、というメッセージですね。

資産運用全体については、2020年3月にコロナ禍で大きく落ち込みましたが、その後徐々に回復し、最近は個人のお客様にも少しずつ変化が出てきていると思います。実際、長らく投資信託における壁だった70兆円を超えて、2020年度末で75~76兆円というレベルまで上がってきています。

― そこまで劇的な伸び具合には理由があったのでしょうか。

そこに貢献しているのは、比較的若い世代も含めた個人の方々です。つみたてNISAなどの活用も増えてきていますし、投資活動は少しずつ広がりつつあります。我々も運用会社としてしっかりとした取組みをしていかなければいけない。その意味でも、あまり知識のない方々にしっかり伝えていくことは、非常に大切な取り組みだと考えています。

― やはり、個人個人が変わってきているという感じはしますね。年金2千万円問題、あれはインパクトがあったのでしょうね。

そうですね。将来への不安を良くも悪くも突き付けられた形ですから。ネット証券の口座開設件数が驚くべき数字に跳ね上がったということもありますし、若い世代を含めた参加者は確実に増えています。我々もお客様のニーズにこたえていかなければいけない。短期的な話ではなく、長いスパンの社会的使命ととらえて動かなければと思っています。

フィデューシャリー・デューティー(FD)を推進

少額積立金融商品のパンフレット(UCDAアワード2020 受賞)

― 今回のパンフレットは、たいへんわかりやすく、生活者と専門家の両方の皆さんから非常に高い評価を受けたわけですが、作成時の指針・苦労されたところはありましたか。

まず会社としての取り組みでいうと、資産運用の高度化を受けて、当社はフィデューシャリー・デューティー推進室を設けています。そこで金融庁からお示しいただいている方針を踏まえ、いろいろな観点で、会社としてどう対処していくかということに取り組んでいます。その中で、見やすく、わかりやすいパンフレット作成なども重要な課題だと認識しています。
パンフレット作成にあたっては図やグラフ、イラストなどの配置もわかりやすく構成するように努めました。そもそも情報量が多い資料だったので、最後まで飽きがこないということを意識しました。

― 毎年思いますが、貴社の作成したパンフレットは色遣いが落ち着いていることが特徴的ですね。強調するために強い色を使うケースがよくありますが、非常に優しい色遣いだという評価が多いです。

色の数が多いとかえって情報が入ってこないということがありますので、意識して抑えました。それから、グラフと内容がひと括りになるような工夫もしています。

情報を正しく、わかりやすく伝えることが必要だ

― 保険商品だとわかりやすさが売り上げにつながることがあると思いますが、投信の場合は商品性にインパクトがあって、わかりやすさは後回しにされてしまう気がします。その辺りはいかがでしょうか。

それは我々の課題でもあります。やはり中身を正しく、しかもわかりやすく伝えるという、そのわかりやすくが大きな課題だと思っています。

― お客様にしっかりと向き合ってということですね。

様々なメディアで顧客満足度調査が毎年出されますが、相当強く意識しています。例えばつみたてNISAの場合、年齢層でいうと資産形成層の方、30代あるいは20代の方々が利用されています。若年層の方は金融の知識があまりないので、わかりやすい資料が必要です。「読んでわかる」と「見てわかる」では大違いで、「読み込まないとわからない」では、初心者の方は読む前にやめてしまいます。
金融庁の「顧客本位の業務運営に関する原則」の中にも「重要な情報のわかりやすい提供」があり、わかりやすくという点をしっかりやっていこうと思っています。

― 今は、銀行窓口での販売商品もすごく増えていますね。

貯蓄から資産形成へという流れは顕著です。けれども、預金をリスクのあるものに移すにはかなりの思い切りが必要です。そういう意味では、やはり安定型、バランス型商品、預金代替商品のようなものが入りやすいと思いますし、そういう方々にしっかり説明する必要がある。これは銀行の窓口の方々はものすごく意識していると思います。

― 最近、保険とか銀行では動画の活用が進んでいますが、貴社ではいかがでしょうか。

いろいろと試行錯誤しています。コロナ禍以降リモートワークが社会全体で広がっていますよね。営業活動にはセミナー・勉強会といったプロモーション活動があります。2019年度の非対面形式でのプロモーション活動はたった2パーセント弱だったものが、今は7割近くになっています。当然、動画もしっかりしたものを作って、うまく活用することが必要になります。

アワード受賞は自信と励みにつながっている

― 今回アワードを受賞されて、社内外の反響はいかがですか。

実際にお客様が手にされての反響まではまだ耳に入ってきていませんが、社内的には第三者機関からよい評価をいただけたというのは非常によかったと思っています。
UCDA様から賞をいただくというのは1つのメルクマールになっており、我々の企業活動が広く最終投資家の皆様に届くだろうという自信につながりますし、大きな励みになっています。

見やすさ・わかりやすさは永遠の課題

― 今後、お客様サービスをわかりやすく、充実させていくための、具体的な取り組みなどを教えてください。

我々、投資信託営業本部は、販売会社様が間に入りますが、個人のお客様に対峙する部署です。そのため、プロアクティブに、能動的に何をしていくのか考える必要があります。例えば、「みんなの文字」を活用して、我々が発行している開示物、媒体を見やすくわかりやすくしていく。そういった取り組みをより充実させていこうと思っています。

― ありがとうございます。「みんなの文字」は、まさに今お考えのように使っていただくと、非常に生きてくる文字ではないかと思っています。

我々には運用力が前提としてありますが、運用力だけなく総合力でFDを推進していくとなると、やはりわかりやすい、見やすい開示が重要になる。まだまだやることは山ほどあります。

UCDAの認証マークは少しずつ広がっている

― UCDAに期待すること、もっとこうあってほしいというようなことがございましたら、お願いします。

先ほど申し上げましたように、我々もわかりやすさ、見やすさに、より力を注いでいきますので、情報提供などを含めて、今後もいろいろご指導等いただけるとありがたいと思います。

― 最後になりますが、このUCDAの認証マークを表紙につけたのは貴社が初めてです。最近、ある生保会社様で、封筒から中身まで全部認証を取ってマークをつけていることがありました。そのような形で目に触れる機会が少しずつ広がっているのかなと思っています。今後はこのマークを見たら「この会社はいい会社だ」と思っていただけるように頑張ってまいります。

我々も努力していきます。

― 本日はお忙しいところ、ありがとうございました。