プロフィール
関吉 淳也(せきよし じゅんや)

1986年4月 太陽生命保険相互会社(現・太陽生命保険株式会社)入社。
岐阜支社長、札幌支社長、西日本地区営業本部長、執行役員 お客様サービス推進部長などを経て、現在は、取締役常務執行役員。
太陽生命保険株式会社は「UCDAアワード2020」で給付金の請求手続き画面が「UCDAアワード」、給付金の請求書および認知症予防に関する動画と印刷物がそれぞれ「アナザーボイス賞」を受賞した。

コロナ禍で人とデジタルの融合が加速した

― この度は、UCDAアワード2020の受賞おめでとうございます。コロナ禍の中で、保険の役割を多くの方が再認識したと思います。また、IT化が進む中での貴社の考えや、保険業界の今後についての考えをお聞かせください。

非対面を希望されるお客様が増え、対面での営業活動でも人とデジタルの融合が加速してきた。それがコロナ禍によっていちばん変わってきたところだと思います。弊社においては、一昨年の10月に発売したインターネット専用商品「スマ保険」がウィズコロナ時代の先駆けになったと捉えています。
また、入院等で就業できなくなったときに、一定のまとまったお金でカバーする保険が今後益々お客様から求められるようになると思います。昨年9月に、新型コロナウイルス感染症を手厚く保障する生命保険として「感染症プラス入院一時金保険」を発売しましたが、お陰さまで大変ご好評をいただいています。

― 非対面での営業に変化する中で、パンフレットや営業職員用の端末も変わってきたのではないでしょうか。

パンフレットだけではなく、デジタルを使った画面表示や構成なども大きく変わりました。ただ、デジタルだけではわかりにくいところもあるので、弊社では先程のインターネット専用商品「スマ保険」と、営業職員によるコンサルティングや申込手続き時のサポートを組み合わせた「リモート申込」を導入しています。人とデジタルの融合を加速させることで、非対面でのサービスを求めるお客様に加え、遠方で直接対面が難しいお客様など、より多くのお客様への提案が可能になりました。
また、業界に先駆けてペーパーレス化やキャッシュレス化に対する取組みも積極的に推し進めており、お客様にとっても良いサービスが提供できているものと思っています。

― 今回アワードを受賞された電子端末の保険金請求画面は、非常にシンプルで、ほぼお客様の負担なしで進められるところが非常に高評価でした。

誰のためのデジタル化かという点が重要だと思います。「見やすさ、わかりやすさ、便利さなどがデジタル化によって実現できればいい」というコンセプトです。やはりお客様のためのデジタル化です。

デジタル化でよりわかりやすくならなければいけない

― 貴社は2020年のアワードに「保険金・給付金の請求書」で電子端末と印刷物でそれぞれエントリーされて、両方で賞を取られた。これはすごく興味深いことですが、やはり両方とも業務上必要ということでしょうか。

2017年に金融庁から「顧客本位の業務運営に関する原則」が公表されたことを受け、本原則を採択するかたちで、弊社も「お客さま本位の業務運営に係る方針」を策定・公表しています。お客様には様々なご年齢の方がいらっしゃいますので、デジタル化でも「お客様本位が基本」と考えています。また、デジタルだけではなく印刷物の存在も依然として重要ですので、お客様の希望に沿って柔軟に対応できることが必要だと考えています。

― お客様に合わせると、内部での業務処理が大変になってきませんか。

効率性を追求することだけが答えだとは考えていません。例えば、弊社マイページでお客様ご自身が直接、給付金のご請求手続きを行うことができ、この手続き自体はデジタルです。一方、手続きの途中でやり方がわからなくなってしまった場合などは、「訪問依頼」という画面上のボタンを押下していただくと、後日、専門知識を有する弊社職員がお客様のご自宅等にお伺いし、お客様のご請求手続きをサポートさせていただく仕組みも並行して構築しています。

保険金・給付金の請求書(電子端末:UCDAアワード2020受賞)
保険金・給付金の請求書(紙媒体:アナザーボイス賞受賞)

― デジタルだけではなく、人が介在するのですね。そういうボタンがついているのはすごく親切だと思います。

ありがとうございます。他にも「書類の郵送」というボタンもあり、紙でのお手続きを希望されるお客様にも対応させていただいています。

― アワードにエントリーした企業の多くの方々も、やることはわかっているがうまく進まないと困っていらっしゃいました。具体的には、パンフレットだとA4縦サイズのデザインが多いですが、ホームページだと横サイズのデザインになる。一方、スマホは縦サイズで範囲が狭くなる。それぞれの媒体に合わせてデザインし、わかりやすく作るのは非常に大変だという話をお聞きします。

色遣いやフォントなど、色々な部分が変わってきます。デジタルにすることで、よりわかりやすくならなければ意味がありません。

― 以前お手伝いさせていただきましたが、高齢者向けのパンフレット作りなど、かなり早い時点から進めていましたね。

弊社では2014年度から「ベストシニアサービス」というものをスタートさせています。シニアのお客様に見やすくわかりやすい帳票をご提供するために、UCDAの作成ガイドラインを採用させていただき、常にそれを意識しています。シニアのお客様が見やすいものは全てのお客様にも見やすい。これが基本です。

― シニアへの対応のほか、ユニバーサルデザインの対応など、色々な分野でかなり早い時点から取り入れられていました。

はい、従業員にも資格取得を積極的に勧奨し、各種研修でも取り入れています。弊社は家庭を主力マーケットに位置付けていますが、企業より家庭の方がマーケットの変化が早い。そのため、マーケットよりも早く企業として変わっていかなければならないという思いがありました。5年後10年後を予想しながら、今より一歩先、その一歩先と、早め、早めに対応していくのが弊社の考え方です。

― すばらしいですね。それがアワードの色々なデザインにも反映されていると思います。

シニアのお客様により効果的に対応するべく、印刷物と動画のコミュニケーションデザインを取り入れました。情報の一覧性、情緒性、アクセス性など、それぞれの媒体の特長を生かしながら、お客様にとってどういったアプローチや見せ方がよりわかりやすいのかを私どもは日々追及しています。わかりやすければ動画にもメディアミックスにも積極的に取り組んでいくのが弊社のやり方です。

印刷物と動画のコミュニケーションデザイン(アナザーボイス賞受賞)

アワード受賞によって社員のモチベーションが上がった

― アワードを始めた頃、帳票の担当をしている方が、何かミスがあると怒られるけれど、今まで褒められたことがなかった。それがアワードで表彰されたら、スタッフのモチベーションが上がると喜んでいました。アワードが皆様のモチベーションにつながり、さらに改善につながっていくと私どもも嬉しいです。

社員が一丸となって取り組み、この賞を是非とも取りたいと思っていました。今回3賞を同時受賞させていただき、従業員の士気が本当に高まったと思います。

企業文化であるUCDをさらに広めていきたい

― UCDAに希望されること、お叱りの言葉などございましたらお願いします。

弊社の企業文化の一つにもなっているUCDを、これからも共に高め、浸透させ、広めていきたいという気持ちでいっぱいです。

― 私どもも今までに増してこの活動を広げていくことで、認証やアワードのマークがついている会社はいい会社だとわかっていただけるようにしていきたいと思っています。

UCDについての理解が社内に浸透していくことで、お客様が求めることをより的確に捉えられるようになると思っています。UCDはこれからの高齢社会で益々期待されるのではないかと感じています。

― 先日、パッケージ表示の高齢者対応に困っているということで、ある食品会社からご相談があり、貴社の活動が1つの事例になると思い、お話しました。

食品表示は非常に大切ですので、お役に立てれば幸いです。

UCDの活動が進めば商品もシンプルになる

― 数年前から、UCDに取り組んでいる企業と、そうではない企業との差が広がってきています。

生命保険は商品が複雑なのでわかりやすい説明は本当に大切なことだと思います。アナログからデジタル化するにしても、お客様目線でわかりやすく変えていく必要があります。

― 金融庁出身で当協会の内藤純一理事が、「UCDの活動が進んでいけば、商品自体がもっとシンプルになる」と申していました。複雑な商品をわかりやすく伝えるのは限界がある。だったら商品をもっとシンプルにしようという流れになっていくのではないかと。

商品が複雑ですと、お客様にとっては提供されている保障サービスが具体的にどういったものなのかを把握しにくい面もあり、結果として、お支払いできる事由が発生してもご請求を失念されてしまっている場合があることが懸念されます。そうならないように弊社を含め保険会社各社が様々な取り組みをしてきていますが、お客様目線の商品、帳票というものについても、最近では随分と浸透してきたように感じています。

― 「情報品質」に向き合う企業様へもっと還元できるよう、これからも活動してまいります。本日は本当にありがとうございました。