第28回:三菱食品株式会社

プロフィール
片岡 博彰(かたおか ひろあき)

1985年3月 早稲田大学 政治経済学部卒業。同年4月三菱商事株式会社入社。
米国三菱商事会社ロスアンゼルス支店 食料部長、加工食品第二ユニット総括マネージャー、飲料・缶詰ユニット 総括マネージャー、ヨハネスブルグ支店 生活産業・化学品部長、食品第二ユニット 菓子チームリーダーを経て、三菱食品株式会社に出向。現在は、同社常務執行役員 広域営業統括。

卸業だけでなく、自社のオリジナルブランドを販売していきたい

― まずはじめに、三菱食品様の会社の概要をお話しください。

片岡:弊社は三菱グループの総合食品商社です。菱食、明治屋商事、サンエス、フードサービスネットワークの4社が2011年に経営統合し、三菱食品が発足しました。加工食品、低温食品、酒類、菓子の4つのカテゴリーの部門が集まって、グロサリー部門のフルライン化を目指してきました。

― スーパーの生鮮食品以外を広く取扱いされているという形ですね。

片岡:基本的にはメーカー様の商品を小売り様、レストラン様、あるいはインターネット取引をするオペレーター様にお届けするのが生業です。メーカー様の作る非常にレベルの高い商品を、できるだけタイムリーに、安全に、効率よくお客様にお届けすることを常に考えています。
我々にとってのお客様には2つ意味がありまして、実際の販売先様が1つ。でも、本当の意味でのお客様は生活者ですね。お客様に対するコミットメントがいちばん大切で、我々も感度を高めていかなくてはいけません。メーカー様と販売先様をつなぐだけでなく、我々自身が持っているオリジナルブランドを販売していきたいという思いもあります。今回UCDAアワード2021という栄えある賞をいただきましたのはこのオリジナルブランドです。
お客様に認めていただくためには、小売り様の店頭で支持を得なくてはいけません。なぜかといえば、コロナ禍でお店にいる時間が短くなっている。お店で、ある商品を目指してきた人ができるだけ早く到達でき、間違えずにチョイスできる。それがパッケージに求められるいちばん大切な機能だと思います。

見やすくわかりやすい売り場改革が進んでいる

片岡博彰氏

― まさに去年のアワードの評価の中では、コロナ禍でパッケージを手に取ることを嫌がる人がいるので、陳列してあるだけでアレルゲン表示や健康表示についてわかるというのは実に生活者の視点に立っているとおっしゃる方が多かったですね。

片岡:私どもが発売している菓子類のオリジナルブランドに関してはほとんど「みんなの文字」を使っています。今回「みんなの文字」の使用を検討していく中で、なるほどと思ったのは、文字もさることながら背景色が大事だということです。コントラストですね。
白い背景に黒い文字だとちょっと素気ない感じがしますが、いちばん見やすいですね。

― パッケージの表面はいろいろな色を使いますが、裏面というか、情報が書いてある面は、白い背景に黒い文字がいちばん見やすいと皆さんおっしゃいます。
三菱食品様の場合は、お客様の声のフィードバックは営業の方を通してということですか。

片岡:そうですね。いろんな商品がありますから、見やすいとわかりやすいというのはお客様の声の中でも加点項目になってきます。

今後は生活者動向の即時把握を進めていきたい

在間稔允

― 先日行われた「UCDAアワード2021受賞企業のプレゼンテーション」では、アレルゲンの表示に関して、お客様の勘違いをなくすために入っていないものまで全て書いているとお聞きしました。これはすごいですね。入っているという表示は法律で決まっていますが、入っていないことまで示すのは難しいですよね。

片岡:難しいです。表示は本当に奥深いものだと思います。これもお客様の声を反映したものです。アレルギーをお持ちの方は、入っていないことも確認したいという意見をいただきました。お客様の声に企業が応える、これがコミュニケーションというものですね。

― 今後の取り組み目標はいかがですか。

片岡:直接生活者に接することが少ないので、AIの活用やDXを含めた生活者動向の即時把握を進めていこうと思っています。例えばある小売りグループ様が始めた「スカスカ撲滅運動」というのがあります。お菓子などで内容量に比べてパッケージが大きいものがあり、物流経費が非常にかかります。そこで、もっとコンパクトで無駄のないものにしましょうという運動で、我々もお手伝いしたいと思っています。

UCDAには今後さらにスタンダードになっていただきたい

― 昨年アワードを受賞されて、何か社内で変化のようなことがございましたか。

片岡:せっかくいただいた賞ですので、特定の商品だけではなく、ブランドとしていただいたと思って、営業には商談で存分に活用するように言っています。それから担当者のモチベーションアップにも当然つながっています。すでに自分たちで変えられるところはみんなの文字に変えていますが、ほかの商品にも広げていこうと考えています。

― UCDという考え方とUCDAという組織に、今後期待することですとか、こうあってほしいですとか、何かありましたらお願いします。

片岡:さらにスタンダードになるようご尽力いただければと思います。それから食品はグローバル化がさらに進んでいくので、その国際連携といいますか、どんなチャンスがありうるのか、そういうことをご検討いただきたいと思います。
また、展示会のような場でも、認証の話や安全安心に関する運動を周知させる話はできると思いますので、そのようなところにご登場いただくのも1つの考え方かもしれないですね。

― そうですね。多くの企業様に知っていただく機会を作っていきたいと思っています。ぜひご協力ください。今日はお忙しいところありがとうございました。