資料請求も増え、より効率的な運用に

アフラック(アメリカンファミリー生命保険会社) 執行役員 仁井田 広美 氏

2011年6月15日収録

最大限の配慮をもって、被災地へ情報をお届けする

写真——昨年は情報の充実度賞を受賞され、今年は最優秀となるアワードに輝きました。おめでとうございます。

仁井田 東日本大震災が発生し、明るいニュースが少ないなか、久しぶりに良い話題となりました。昨年よりも高い評価をいただくことができ、当社内で放映されるテレビニュースでも全社員に受賞が伝えられ、非常に盛り上がりました。本当に光栄なことだと思います。

——選考結果発表のときは、震災対応で大変だったのではないでしょうか。

仁井田 震災後に、総合通知であるアフラックメールをどのように送付するべきかは、非常に難しい問題です。アフラックメールは年間約1300万人のご契約者へ誕生月に合わせて送付しており、月の発送件数は約100万通になります。しかし、被災地のお客様のなかには、ご自宅が地震や津波の被害に遭い、避難していて郵便物が届かない。また、地域によっては配達自体されていないところもあります。
仮に届いたとしても保険どころではないという状況のお客様もいらっしゃるでしょう。被災地のお客様に対しては、慎重な対応が求められますが、あまり慎重になりすぎて送付をやめてしまうと、保険業界全体で被災契約者を支援するなか、お客様にその大切な情報をお届けできません。迅速で的確な状況判断をしたうえで、どのようにお客様に情報提供するべきか、判断に悩むところです。
通常はアフラックメールにご提案資料を同封していますが、営業色が強くならないように同封を控え、むしろ当社の震災対応をしっかりお知らせすることで「ご安心ください」というメッセージを伝えたいと考えています。

——契約者の声を集約することも、従来よりも大変でしょう。

仁井田 当社は大きく3つの部門でお客様対応を行っており、私たち「カスタマーリレーションサポート部」は、お客様への能動的な情報発信を主な業務としています。他の2部門は、お客様からの電話を受ける「コンタクトセンター統括部」と、来社されるお客様の対応及び苦情等の情報管理を行う「お客様サービス推進部」です。これら3部門が互いに連携することで、お客様の声を集約し、社内で共有しています。

前年の指摘をもとに
デザイン改訂に取り組む

写真——前年に比べて、アフラックメールをだいぶ改善されましたね。サイズを小さくしてコストダウンもなさっています。情報設計が非常に高い評価を得ましたが、レベルアップのために工夫された点、ご苦労された点を教えてください。

仁井田 昨年はアワードまであと一歩というところでした。いろいろとご指南いただいたことを参考にして、デザイン改訂に取り組みました。内容について、「認知の導線」を工夫することや、緑を使用したページが見えにくいことなどをご指摘いただきました。以前は、緑色はとてもやさしくて、いい色だという認識しかありませんでしたので、今回はお客様によりわかりやすい色を使い、「認知の導線」に配慮したレイアウトを心がけました。

——現状の契約内容の案内と、今後の提案がアフラックメールの2つのポイントだと思いますが、今後の提案をするには、現状の契約のマイナス面も伝えなくてはいけませんよね。

仁井田 現在のご契約のマイナス面をお伝えする際には、ひとつ間違えると、お客様に「どうしてこんな商品を販売したのか」と思われかねません。今回、紙面での情報の組み立て方を工夫した結果、お客様にとってマイナスとなる情報でも正しく理解できるようお伝えできたのだと思います。おかげさまで資料請求が約8%増え、お客様からの苦情・要望が約25%減りました。お客様の声を真摯に受け止めながら、UCDAさんにご指摘いただいてデザイン改訂に取り組んだ成果だと思います。コストについても、35%の削減に成功し、資料請求は増えるというハッピーな状況になりました。

紙媒体に加え
Webの充実を図る

写真——紙媒体を中心にしたコミュニケーションから、これからは紙媒体とWebの組み合わせという方向にいくと思いますが、いかがでしょう。

仁井田 かつては誰も持っていなかった携帯電話がこれだけ一般的なものになったように、デジタルデバイスはどんどん普及しています。おっしゃるように、紙からWebへという流れはあると思います。当社の場合、古くから企業が福利厚生の一環として、企業の系列代理店を通じて従業員様向けにがん保険などを案内してきた歴史があります。その当時、ご契約いただいた団塊世代の方が退職後にご自宅でパソコンを楽しむようになれば、当社のお客様のインターネット利用率も上がると考えています。
利便性やコスト面からもWeb化は非常に重要です。当社オフィシャルホームページにはお客様がご自分の契約内容を確認できる「アフラックご契約者様専用サイト」というWebサービスがありますが、認知度をさらに高めるために、アフラックメールの中面に掲載していたサイトのURL等のご案内を表紙への掲載に変更したところ、非常に効果がありました。またこれからの取り組みの中で、アフラックご契約者様専用サイトの内容が更新した際に、お客様にメールでお知らせするという構想があります。ただ、すべてのご案内がWebになるわけではなく、Webと紙媒体が併存し、徐々にその利用比率が変わっていくと思います。

——私は常に「ユニバーサル=パーソナルだ」と言っています。誰もが使いやすい・わかりやすいということを追求していくと、「1人ひとり=みんなに」ということだろうと。この人は紙、この人はWeb、この人は紙とWeb両方が必要というように1人ひとりが満足できるコミュニケーションがユニバーサルですよね。

仁井田 そうなると、汎用性と機動性が求められます。そこで、グランドデザインが必要になってきます。いつまでにこのステージまで対応し、いつまでに次のステージまで進化させるかなどと、先見性をもって対応しないと時代に取り残され、立ち止まっていると置いていかれてしまう。常にその恐怖との戦いです。

——さすがに、それだけの努力をなさっているから、アワードを受賞されたのですね。最後に、UCDAに要望はありますか?

仁井田 今回のデザイン改訂では、ご指南をいただいたことに、本当に感謝しております。また、アワードという形でUCDAさんが音頭をとってくださるので、担当者レベルでも「切磋琢磨して頑張ろう」という動きがあります。要望としては、今後は紙媒体だけでなくWebの総合通知もぜひ取り上げていただけるとありがたいです。

——そうおっしゃっていただけると、われわれとしてもやりがいがあります。Webに関しても検討していかなくては……と思っております。本日はありがとうございました。