お客様のために何ができるかを第一に考える

写真三井住友海上あいおい生命保険株式会社
営業推進部 販売開発グループ
課長代理 間野 真吾 氏

主任 石田 美穂奈 氏

2012年10月26日収録

「すべてはお客様のために」の考えのもと、お客様の視点で作成

——「情報のわかりやすさ賞」受賞おめでとうございます。UCDAアワード2012へ参加したきっかけからお聞かせください。

kokyaku_20-3間野  このような賞をいただきありがとうございます。大変光栄に思っております。受賞することを目的として何かをしたというわけではありませんが、私たちは日頃からお客様のために何ができるかを考えるよう心掛けています。生命保険という一般的にわかりにくいとされている商品についていかにわかりやすく伝えるか、商品内容や注意事項などのお客様が知りたい情報と、当社が伝えなければならない情報をいかにバランス良くお伝えするかについて心を砕いています。商品パンフレットなどは生命保険へのご加入を検討していただく重要なツールですから、常にお客様の視点に立って作成しています。UCDAアワードは、そのような取り組みを客観的に評価いただく機会と思い参加させていただきました。「情報のわかりやすさ賞」を受賞できたことについては非常に満足しています。「わかりやすい」というのは、一番の誉め言葉ですから。

kokyaku_20-4石田 従来からUDフォントの使用やカラーユニバーサルデザインを意識した配色などわかりやすさへの取り組みは行っていました。そこでUCDAアワードをご紹介いただき、参加したわけです。

——お客様からの反響はありますか?

石田 消費者調査などという形で評価を頂くことがあります。ただし、お客様からパンフレットなどにかかわる評価の声はあまりヒアリングできていません。お客様の感想が担当部署にまで上がってくることは少ないです。

間野 私たちの思いがお客様に届いているかをヒアリングできる機会は貴重なため、客観的な評価をいただくことは非常に価値があることだと思います。

段階的な構造で、商品内容の理解に導く

——御社の「わかりやすさ」への取り組みについてお聞かせください。

kokyaku_20-5石田  当社の主要商品のパンフレットを作成した際に、消費者インタビューとインターネット調査を行っています。どの様にしたらお客様がわかりやすいかという点はもちろん、代理店様の使いやすさについても意識しました。以前は独自に試行錯誤しながら作成をしていましたが、2011年の会社合併を機にパンフレットなどのコミュニケーションツールの作成マニュアルを作りました。パンフレットなどを作成するにあたり「ブランドコントロール」「ユニバーサル」「ユーザビリティ」の3つの項目を心がけることや、私たちの部署だけでなく他部署で制作しているスタッフとも共有できるような試みを行ってきました。そのマニュアルには、今まで培ってきた知見を盛り込んだ内容になっています。

間野 難解な用語はなるべく使用しないように用語の平易化にも努めています。専門的な用語には補足説明を付けたり、平易な言葉に置き換えるなどしています。また、文字の大きさ、版面率の制限、視線の動きを意識するなどの基本的な取り組みはもちろんのこと、このパンフレットは構造も意識しています。お客様が最初から読み進めていくと、段階的に商品の内容を理解しやすくなる流れになっています。まずは導入から始まり保険の仕組みや保障内容があって……という段階的な構造になっています。そして、お客様のみならず使用いただく方に対してもやさしいパンフレットになるよう心がけました。

——構造に関しては、評価員の方々も関心をもたれていました。

石田 当社の主要商品「&LIFE」というブランドには10種類以上の商品がありますが、すべて体裁を揃えています。商品内容の全体像がわかる「扉」と「仕組み」など各ページに統一性を持たせました。使用いただく代理店様もどの様な商品でどこに何が書いてあるかを簡単に把握できるようにしています。毎日多くの商品を扱っていただいていますので、きっと使いやすいに違いないということで統一を図りました。

「アナザーボイス」は、数値では計れない生の声

kokyaku_20-6——アワードについて何かご意見やご感想をお聞かせください。

間野 昨年までは「アナザーボイス」は実施されていませんでした。それまでは数値的なもので評価していただいたと思いますが、やはり実際の評価は数値だけでは計れないところもあります。実際に使用されることを前提とした「アナザーボイス」の評価は生の声に近いと思っています。その評価の声は、私たちにとっては貴重なことであり、今後の業務の参考になります。

——デザインの評価結果が生活者の立場でのわかりやすさと相反していることも多いのですが、御社は、「アナザーボイス」の評価も高かったですね。

石田 私たちのお客様への思いが、少しでも伝わったことが証明できたのではないかと感じています。また、ユニバーサル コミュニケーション デザインに関する知見が私たちの中で蓄積されたことも大きな収穫です。この経験を糧にして今後も「お客様のために」業務に取り組みたいと思います。

——最後に、アワードに限らず、UCDAに対するご要望などありますか。

間野 現在の社会はお客様に理解しやすく伝えることの重要性が大きいと思っています。しかし、私たちがわかりやすいと思っていても、実際にはお客様に伝わっていないということも少なくありません。業界全体が、今まで以上に伝えることやわかりやすさを意識できたらと思います。これまでは独自に自分たちの知識で取り組んできましたが、わかりやすさへの追及は社会情勢やお客様の環境により変化するものと認識しています。今後も奢ることなくUCDAの手法や考え方を勉強するなど、「お客様のために」わかりやすさへの取り組みを進めていきます。

——本日はお忙しいところありがとうございました。